2015 Fiscal Year Research-status Report
キャンパス内の国際的人材育成プログラムの効果の検証と卒業生の活用に関する研究
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26590213
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
河合 成雄 神戸大学, 国際教育総合センター, 教授 (60294245)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際的人材育成 / 国際化の評価指標 / 気付き / ふりかえり |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、申請者の所属する大学で20年来実施されている、日本人学生と留学生による1泊2日の日英バイリンガルの討論「神戸大学国際学生交流シンポジウム」でのすでに卒業した参加者を対象に、キャンパス内での国際化プログラムの効果の検証を行っているものである。「国際化」の指標作りや評価は困難でもあり検証しがたい面があるものの、昨年来、個々の参加者の国際化の基準と、国際交流プログラムのプログラムそのものの評価とを別に考えることによって、個人の到達目標を決める"can do statement"からのみの評価から脱却した、より客観的なものを構築することができた。 他方、昨年度に引き続き参加者の卒業生へのインタビューを実施することにより、シンポジウム参加当時にどのような国際的なスキルを得るのか、またどのように得ることができるのかといった意識を持たずに参加してきた世代では、国際化の経験を後々に生かす具体性に欠けており、概ね「気づき」を獲得してはいるもののそこにとどまってしまっており、さらにどう進むのかということを学生時代に経験したり、考えたりすることが欠けていたことが確認された。その改善のために、例えば上記のシンポジウムを実施するにあたって、学生たちに、自分たちが何をしているのかどういう意味付けができるのか等を考察する「ふりかえり」の機会を持ち、自らを客観的に位置づける機会を与えることによって、教育効果を高めることが確認できた。 以上のような考察をもとに、国際交流プログラムの発展過程とその評価について、APAIE(Asia-Pacific Association for International Education)の国際会議において報告者は発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は20年間にわたる国際化プログラムの参加者を対象としたインタビュー調査が基礎になっているが、おおよそのデータを得ることはできた。他方、最終的な目標である「社会人(卒業生)を活用した国際的人材の育成」のためには27年度にもう一度社会人を招いてパイロットプログラム的にシンポジウムを開催しておきたかったのであるが実施できなかった。 国際化の評価をすることは先行研究が少なく困難な面があるが、その評価をプログラムそのものに対するものと、参加者に対するものに区別することによってプログラムのの効果、その改善の過程を検証をすることができた。それについては、APAIE(Asia Pacific Association of International Education)で"Enhancing Internationalisation on Campus: A case study at Kobe University"という題目で口頭発表した。特に申請者が担当した部分はInternationalisation at Homeであった。それは「キャンパス内で国内にいながら国際化を目指すこと」を意味している。この発表はもともと本研究の最終年度である平成28年度の5月に行う予定にしていたものであるが時期を2か月早めたものである。平成28年度に実際に卒業生を使って日本人学生の教育をするためには先に理論的な発表を終えておくのが必要と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記APAIEで発表した内容を論文にまとめる。またその一方でその成果を活かして、実際に社会人を活用した国際化プログラムを企画し、最終的にその検証もする予定である。その検証にあたっては、現在の学生の参加者および社会人の双方からのフィードバックをアンケートとインタビュー調査によって得る予定である。 最後に、その事例について、報告書を作成するとともに海外でも発表する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していたほどアンケートによる調査が有効ではなく、インタビューを中心に行ったため人件費が余る結果となった。 また、平成27年度においては卒業生を学生の教育のために招聘することをしなかったために国内旅費等も余剰金が生じる結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究は、国際化の指標や評価に関する研究であり、昨年度末の発表のおりに研究成果に一応のレビューを得られてはいるが、再度海外で発表をする予定である。 また、日本人と留学生によるプログラムを実際に卒業生を活用しつつ実施するので会場費等が必要になる予定である。
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Research Products
(1 results)