2015 Fiscal Year Research-status Report
探針側方のナノ構造体を検知する非破壊AFMの開発と生体分子集合体計測への応用
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26600097
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
淺川 雅 金沢大学, バイオAFM先端研究センター, 助教 (90509605)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / ナノテクノロジー / プローブ顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
原子間力顕微鏡(Atomic force microscopy: AFM)は探針側面に働く水平方向の力を検出できないため、急峻な勾配を有するナノ構造を壊すことなく高分解能観察することが難しい。この問題を克服するために、カンチレバー型力センサの複数振動モードを同時に計測し、垂直方向・水平方向に生じる相互作用力を検出できる新規AFM手法を開発するのが本研究の目的である。これを実現するためには、複数のカンチレバー振動モードを励振し、その振動特性を同時検出する方法を確立する必要がある。昨年度(平成26年度)までに、カンチレバーの垂直方向とねじり曲げ方向の振動モードを同時励振し、相互作用力によって生じる周波数シフトや振幅変化を検出できることを明らかにしてきた。 本年度(平成27年度)は、新規AFM手法の有用性を実証するモデル試料として球状タンパク質のチューブリンが形成する微小管の調製方法について検討した。微小管はチューブリン分子間の弱い相互作用で形成されており、直径が25 nmとAFM試料としては大きいためAFM計測で破壊されやすいため、本研究のモデル試料として適している。一般的に微小管をAFM計測する際は化学的な架橋を行い、機械強度を向上することが多い。本研究では固定化するマイカ基板のアミノプロピルシラン表面修飾の新しい手順を確立し、さらに微小管の脱重合を阻害するパクリタキセルの濃度を最適化することで、化学架橋を行なうことなくAFM観察可能な微小管試料を調製できることを明らかにした。また微小管の試料調製時のパクリタキセル濃度を制御することで微小管の機械的な安定性を調整できることも明らかにした。これらの成果により、化学架橋の影響を受けることなく本来の微小管表面を高分解能AFM計測することができるモデル試料を確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は探針の垂直・水平方向に働く相互作用力の情報を探針試料間距離PIフィードバックに利用するための機能開発を予定していたが、実際にAFM計測へ応用する段階に到達しなかった。一方、新規AFM手法の実証に用いることのできる微小管試料の調製方法を確立した。これは次年度に予定していた内容であり、この点に関しては計画以上の進展が得られた。以上の成果より、研究課題全体では概ね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでカンチレバー型力センサが持つ複数の振動モードを同時励振し、水平・垂直方向の相互作用力を同時検出できることまで確認している。今後は得られる水平・垂直方向の相互作用力情報を同時に利用して、非破壊AFM計測可能な探針-試料間距離制御の方法について研究を進める。すでに微小管を用いたモデル試料を確立しており、直ちに実証実験を行なう体制は整っている。
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Research Products
(3 results)