2015 Fiscal Year Annual Research Report
大強度・高分解能パルス中性子による転位構造評価技術の開発
Project/Area Number |
26600146
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
Stefanus Harjo 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究主幹 (40391263)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中性子回折 / 飛行時間法 / 転位密度 / 転位配列 / 強度 / その場測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
飛行時間法中性子回折実験から、弾性ひずみ(回折線位置)、集合組織(回折線強度)および相比(又は相変態;回折線強度)意外に、転位(回折線形状)の評価法が進んでいない。大強度・高分解能パルス中性子を利用して、飛行時間法での転位評価技術を開発し、様々な金属材料の変形機構および機能発現機構の解明と組織制御の理解に役立つ転位評価法の確立に挑んだ。 本年度では、変形によって回折プロファイルの幅と形状が大きく伴うラスマルテンサイト鋼を注目の試料として用いて、ピーク幅を利用したプロファイル分離法及び全プロファイル形状の畳み込み法の転位評価を行い、比較検討を行った。ピーク幅を利用したプロファイル分離法による転位評価ではプロファイル裾を無視したため正しい評価結果が得られなかった。全プロファイル形状の畳み込み法による転位評価ではCMWPフィット法を用いて行い、信頼できる転位密度のみでなく転位の配列に関する情報まで得られた。ラスマルテンサイト鋼の変形初期段階では転位密度の変化が小さかったが、ランダム転位配列から相関関係の大きい転位配列への変化がみられ大きな加工硬化と関連付けられた。さらに、変形に伴ってラスの異なるパケットによる変形異方性が生じパケット間の荷重及び転位密度の分配が発生したことを発見した。 飛行時間法中性子回折の転位評価用の全プロファイル形状の畳み込み法の確立によって、他金属材料の変形及び熱処理に伴う組織変化の解明にも繋がった。上記の成果は学会発表等で既に公開し、一部を論文発表した。
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