2015 Fiscal Year Research-status Report
パーシステントトポロジーと逆問題:タンパク質の構造・機能解析における新手法の確立
Project/Area Number |
26610042
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平岡 裕章 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (10432709)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 俊輔 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90203116)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | パーシステント写像 / 特異点 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度開発した追跡法をいくつかの点で改善を試みた。まず理論的な側面としては、パーシステント図の生成元の個数が変化するより一般的な状況で理論的枠組みを構成する試みを行った。アイディアはターゲット空間を無限次元ベクトル空間とし、そこへのパーシステント図の埋め込みを考えることで、生成元の変化に対応させる写像の構成を目指した。ここでターゲット空間としては単射性が保証されているカーネル埋め込みを主に考察した。使用したカーネルは、Persistence Weighted Gaussian Kernelと呼ばれる、重み付きガウス型カーネルである。このカーネルは、別プロジェクトで、位相的統計理論の構築を目指して開発したものであるが、データに対する安定性定理などの良い性質を有している。また、従来からパーシステント図の無限次元表示として用いられているpersistence landscapeなどについても検討を行った。
また計算コードの改善もおこなった。今年度は、高速パーシステントホモロジー計算ソフトウェアであるPHATおよびDIPHAの導入に成功した。昨年度構成したアルゴリズムでは、ニュートン法の各反復においてパーシステント図を毎回計算する必要があった。この改善により、各反復計算で高速化され、追跡法自体の大幅な高速化につながった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度に行われた理論およびアルゴリズムの基盤整備をうけて、27年度はそれらの改善を行う予定であった。特に、パーシステント図の生成元の個数が異なる状況に重点的に取り掛かる予定であったことから、得られた実績は当初の予定通りであると考えられる。また、論文の執筆も行えたことから、業績としても順調であると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度であることから、これまでの成果をまとめた論文の執筆に取り掛かる。また、27年度に考察を進めたパーシステント図の生成元が変化する状況の理論を完成させる。さらに、このより一般的な状況を取り扱うことが可能な計算コードの開発も進める。
|
Causes of Carryover |
2,076円の残額を来年度に有効利用しようと判断した為。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
2,076円の残高を来年度の旅費に組み込んで使用する。
|
Research Products
(9 results)