2014 Fiscal Year Research-status Report
超構造による強相関トポロジカル量子系のエッジ状態・電子相制御
Project/Area Number |
26610097
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤岡 淳 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (80609488)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 物性実験 / 強相関電子系 / 強相関エレクトロニクス / 低温物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はパイロクロア型イリジウム酸化物の磁気界面(磁壁)においてトポロジカルエッジ状態による2次元電子系を創製し、バルクが絶縁体金属転移する過程でのエッジ状態の生成・消滅メカニズムを明らかにすることを目的とした。磁壁に現れるエッジ状態の観測に当って、まずヘテロ界面に磁壁をピン止めした構造を利用することとした。その準備段階としてパルスレーザ堆積法によってNd2Ir2O7単結晶薄膜を作成した。抵抗率やホール抵抗率の測定によって既にバルク多結晶で報告されている金属絶縁体転移や磁壁による電気伝導を観測することに成功した。続いて、モットギャップが更に大きいEu2Ir2O7、ワイル半金属状態を示すNd2(Ir1-xRhx)2O7(x=0.05)の作製を行い、ヘテロ構造を作製した。磁場によるドメイン制御によってヘテロ界面に反強磁性ドメインの磁気界面をピン止めすることを試みた。磁壁がピン止めされていると思われる状態でも磁壁の電気伝導の寄与が有意には観測されなかった。様々なRhドーピング量を持つNd2(Ir1-xRhx)2O7に対しても同様の実験を行ったが磁壁の電気伝導の寄与が有意には観測されなかった。ヘテロ界面の平坦性や構造作製の行程において生じた格子欠陥などにより、意図した高移動度金属状態が作製できていない可能性が考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に主目標としていたヘテロ構造の作製については当初の予定通り達成できたと考えている。しかしながら作製したヘテロ界面に磁壁をピン止めし、そこでの高移動度電子系の兆候を捉えることは出来ていない。ヘテロ界面の平坦性や構造作製の行程において生じた格子欠陥などにより、意図した高移動度金属状態が作製できていない可能性が考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
ヘテロ界面にピン止めした磁気界面に生じる2次元電子系の応答を観測することを目指す。このためヘテロ界面の平坦性の向上を図る。また、パイロクロア型イリジウム酸化物以外の物質にも着目し、磁壁に生じるエッジ状態やバルクのディラック電子状態の可能性を模索する。
|