2016 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of the stability of quadruply charged four-atomic molecular cation
Project/Area Number |
26620014
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
八ツ橋 知幸 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70305613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 和男 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 講師 (60347482)
藤原 亮正 大阪府立大学, 大学院理学研究科, 助教 (10580334)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Bradbury-Nielsenイオンゲート / 高速質量選別器 / 飛行時間型質量分析計 / フェムト秒レーザー / 多価分子イオン / 単一同位体選別 / DFT計算 / 電荷局在化 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.分子軌道計算による多価分子イオン安定性の解明 DFT計算によりジヨードアセチレン多価分子イオンの安定性を解明した。正電荷が分子両末端のヨウ素に局在化することで炭素同士のクーロン斥力が最小になり、さらにヨウ素と炭素の電荷誘起双極子相互作用(引力)が働くため、4価イオンであっても安定に存在できると結論した。
2.高速質量選別器の性能評価 製作したBradbury-Nielsen質量選別器(BNG)はキセノン6価イオンの単一同位体ピーク(ピーク間隔 52 ns)の分離が可能であることが分かった。選別前と選別後のイオンピークの半値幅を比較した。2価から6価のピークの形状は選別前と同じであったが、1価のイオンピークの形状のみ歪んだ。これはピークの幅(23 ns)が大きいためであり、選別パルスを伸長することで解決できる。2価から6価のピークの半値幅を比較したところ96.4±4.8%であり、BNGはイオンの空間分布に影響を与えないことがわかった。これまで質量選別器の性能については、標的のイオンピークが選別できたかどうかなど、定性的な評価しか行われてこなかった。そこで我々は「ゲート関数」としてレーザー照射と質量選別器へのトリガー信号の遅延時間とイオン収量の関係をキセノン1価から6価についてもとめた。ゲート関数の半値全幅は36.5±0.5 nsであり有機分子の4価イオンのピークを選別するのに十分な性能を有していることがわかった。
3.多価分子イオンの寿命測定 製作したBNGを用いて多価分子イオンを選別し、その反応追跡を試みた。4価のジヨードアセチレンは生成後10マイクロ秒以上でも検出され、長寿命であることがわかった。正確な寿命を求めるには積極的に解離を誘起するため衝突誘起セルを導入する、あるいはナノ秒レーザーを用いた光誘起解離を試みるなどの検討が必要である。
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Research Products
(11 results)