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2014 Fiscal Year Research-status Report

高周波超音波で生成した液中格子空間を用いる結晶径制御

Research Project

Project/Area Number 26630388
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

二井 晋  名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90262865)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2016-03-31
Keywords超音波 / 結晶 / 定在波 / 粒子径分布
Outline of Annual Research Achievements

H26年度は、液体中に高周波超音波を照射して形成させた定在波場により、格子状に仕切られた空間内で結晶を生成させ、この空間内での粒子振動や気泡運動を利用して、結晶の大きさと径分布を精密に制御するアイデアの実現可能性を検討した。結晶の生成では医薬品原料のモデルとしてグリシンを選択した。実験装置として、温度制御された水槽の底面に2.4もしくは5 MHzの超音波振動子を取り付けた槽を製作した。超音波を照射した水中に、グリシン溶液試料を満たしたガラス直方体セルを浸漬してグリシンの結晶化を行い、種々の操作条件のもとで得られた粒子径分布の比較により、結晶化挙動に及ぼす超音波の影響について調査した。
2つの周波数の超音波照射下で生成したグリシン結晶の結晶径の分布幅は狭く、高周波超音波により結晶径の分布幅を狭くできることを確認した。5 MHzの超音波照射では、条件によりセル内で定在波支配の状態と音響流による循環流支配の状態となり、それぞれの状態で異なる結晶径が観察された。定在波支配の場合には、柱状のグリシン結晶が横向きとなり、定在波に捕捉されて振動している様子が見られた。一方循環流支配では、結晶は循環流に乗って移動しており定在波に捕捉されなかった。このように、セル内部の流動状態により結晶化挙動が大きく影響を受けることが明らかとなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

計画当初に予想した、液体中の格子状空間が生成する条件が限られ、投入する超音波パワーにより必ずしも格子状空間が形成されない場合があることがわかった。H26年度には周波数が結晶径に及ぼす影響を明らかにすることを目標として取り組んだが、現時点で明確な影響が見られておらず、目標を十分に達成しているとは言えない。実験装置の製作と結晶径の測定および評価法は確立されたので、今後は超音波の照射条件と過飽和度を精密に制御することで、周波数と結晶径の関係を明らかにする。
結晶化物質について、計画ではグリシン以外の物質として、他のアミノ酸、サリチル酸、アセトアミノフェン、タウリンなどでの検討を掲げていたが、H26年度はグリシンのみでの検討にとどまった。
以上のように、当初予想した液中での格子状空間の生成条件が限定的であったため、結晶化物質としてグリシンのみの検討にとどまり、研究計画に少し遅れが出ているが、装置と評価方法は確立されているため、H27年度の研究の進展が期待される。

Strategy for Future Research Activity

上で述べたように、結晶化物質としてグリシン以外の物質を選択して格子状空間内での結晶化挙動について、異なる周波数のもとで調査し周波数と結晶径の関係を明らかにする。当初は超音波パワーの影響を調べることに注力したが、定在波場を形成させることを前提とすることに方針を転換する。高周波超音波の照射により、結晶径分布の幅を狭く制御することは達成しているため、定在波場の影響が現れる条件の探索につとめる。
数種の物質に対して結晶化挙動を明らかにした上で、物質による超音波作用の違いの有無を調べ、超音波作用メカニズムとして物理的な作用であるか、化学的な作用であるかを検討する。さらに、このような作用がキャビテーションによるものか、定在波の波動としての性質によるものかを明らかにして、結晶化挙動への超音波作用の解明を行う。

Causes of Carryover

研究で用いた試料がグリシンに限られており、他の物質を購入しなかったために、試薬の購入費用が計上されなかったためである。また、超音波周波数として、既存の2つの振動子を用いたため、振動子の試作費の支出がなかった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

H27年度にはグリシン以外の物質での試験を計画しており、そのための試薬購入費として支出を予定している。また、定在波場の制御因子として、超音波周波数が支配的であるので、既存の振動子に加えて特注の振動子を作成して試験を行う計画である。その他の支出項目は、当初の計画通りに支出する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2015 2014

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 高周波超音波照射下でのグリシンの貧溶媒晶析2015

    • Author(s)
      大澤 一真、二井 晋
    • Organizer
      化学工学会第80年会
    • Place of Presentation
      芝浦工業大学
    • Year and Date
      2015-03-19 – 2015-03-21
  • [Presentation] 高周波超音波照射下でのグリシンの貧溶媒晶析2014

    • Author(s)
      大澤一真、二井 晋
    • Organizer
      第45回中部化学関係学協会支部連合秋季大会
    • Place of Presentation
      中部大学春日井キャンパス
    • Year and Date
      2014-11-29 – 2014-11-30

URL: 

Published: 2016-05-27  

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