2014 Fiscal Year Research-status Report
骨様組織のin vitro構築法を用いた再生医療技術
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26630423
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
福田 淳二 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80431675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
穴田 貴久 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (30398466)
鈴木 敦 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60467058)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 再生医療 / 骨組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究に用いるオリゴペプチドは、末端のシステインの持つチオール基を介して金の表面に結合した後、正に帯電したリジン(K)と負に帯電したグルタミン酸(E)の繰り返し配列により静電的な分子間相互作用を生じ、密に配勾した自己組織化単分子層を形成するものである。ここに細胞接着配列(GRGDSP)を加えたペプチドを少量混合することで、細胞接着表面とした。この表面に細胞を接着させた後、金の表面に負の電位(-1.0 V vs A g/AgCl)を印加し、金-チオール結合を切断することで、自己組織化ペプチド層ごと細胞を脱離させた。 特に本研究では、グルタミン酸(E)とリジン(K)の繰り返し数などを変化させた時の挙動を分子動力学計算により明らかにするとともに、分子層の密度および細胞脱離に要する時間を指標として、オリゴペプチドの配列を工夫した。そして最終的に、約2分で血管内皮細胞を脱離させることが可能であることを示した。 骨形成のための細胞源として、骨髄由来のヒト間葉系幹細胞を使用した。そして、臍帯静脈内皮細胞と間葉系幹細胞を共培養することで、間葉系幹細胞による内皮細胞の管腔形成および維持を促進するよう工夫した。さらに間葉系幹細胞は骨芽細胞へ分化誘導することも可能であることから、スフェロイドを形成させることで効率的に骨芽細胞に誘導した。ここで開発したスフェロイド培養器は、直径500 umの複数の細胞非付着性のウェル構造を有し、ウェル内で均一な粒径のスフェロイドを形成させ、なおかつシリコーンゴム製であるため培養容器底面から酸素を供給できるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、骨組織作製を目指して、オリゴペプチドの設計、スフェロイド培養器の作製を到達点として設定した。いずれも、次の検討課題であるオステオン作製に取り掛かるに必要十分の結果が得られている。特に、細胞脱離速度、脱離効率、スフェロイド形成率、スフェロイド化した間葉系幹細胞の分化誘導率について良好な結果が得れている。以上のことから、順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
オステオン構造は血管を中心としていることから、オリゴペプチドを介して金ニードル(500 um)表面に接着させた血管内皮細胞を、ゲル内で電気化学的に脱離・転写させることで、内表面を血管内皮細胞に覆われた血管様構造を作製する。この転写した内皮細胞は、送液培養中にゲル内に遊走して管腔構造を自発的に作り、互いの微小血管様構造を接続することがこれまでの実験結果から予想できる。ただし、ゲル内に骨芽細胞スフェロイドを導入する場合、作製プロセスを高速化しなければ、ゲル内で酸素枯渇が生じる。そこで、細胞転写の高速化とともに、素早くゲル化する足場材料を創生する。そして全体として15分以内に血管構造を構築する技術を確立する。 前年度および上記で確立した技術を用いて、オステオン構造の誘導に取り組む。電気化学を用いて作製した血管様構造の周囲に、骨芽細胞スフェロイド、ヒト臍帯血内皮細胞、ヒト間葉系幹細胞を導入する。また、アパタイト成長の核として、骨充填剤粒子(b-TCPなど)を導入する。血管構造を素早く形成し、すぐに送液培養を行うことで、酸素や栄養素を供給する。特に、発生プロセスを意識して、導入する細胞の種類や、ゲル中または培地中に添加する因子(骨形成因子BMPなど)を検討することで、in vitro培養系でオステオンの形成を誘導する。さらにヌードマウスを用いて小動物実験を行う。ここでは、大腿骨に5 mmから数cm程度の骨欠損を形成し、上記にて作製した培養骨を移植する。そしてX線およびマイクロCT検査により、従来技術の対照群と治療効果を比較する。また、1~2カ月後に移植組織を摘出し、血管構造、新生骨の形成などを評価する。
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Causes of Carryover |
研究代表者と研究分担者で技術融合を行うことになっており、研究代表者の研究の進展を待っていたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
技術融合の見通しがたったため、今年度早期に細胞培養消耗品に使用予定。
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Research Products
(26 results)