2014 Fiscal Year Research-status Report
細胞内情報伝達の可視化を基盤とする電気的細胞機能制御法の開拓
Project/Area Number |
26630424
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
篠原 寛明 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (60178887)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 細胞内情報伝達 / 可視化 / 電気刺激 / ナノ秒パルス / 細胞機能制御 / Ca2+ / Yellow Cameleon / トランスロケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、(1)細胞内情報伝達の新規可視化法の開発、(2)従来法及び(1)で開発した新規の細胞内情報伝達可視化法を駆使して、種々の電気刺激が細胞内情報伝達や遺伝子発現に及ぼす効果をリアルタイム観察し、細胞内情報伝達を制御し得る条件を明らかにすることにより、電気刺激による細胞機能制御法を確立することを目指す。 H26年度は、このうち(1)の可視化法として、表面プラズモン共鳴イメージングを用いることにより、種々の培養動物細胞を薬物刺激した時の細胞内情報伝達を単一細胞内の細胞膜近傍の情報伝達を担う蛋白質のトランスロケーションによる屈折率の増加やその後の減少としてリアルタイム観測できることを明らかにした。 さらに(2)として、細胞内のセカンドメッセンジャーであるCa2+に着目し、遺伝子導入により、Ca2+プローブ となるYellow Cameleonを発現させた神経前駆細胞を用意し、研究室で自作したナノ秒直流パルス発生装置を用いて電気刺激した時の細胞内Ca2+濃度の増加を蛍光観察し、細胞内へのCa2+流入を誘起することが可能なパルス条件の検討を行った。その結果、適当な電圧、時定数(パルス幅)で、細胞内Ca2+の流入を引き起こせる可能性が示唆された。これらの研究成果は、関連する国内外の国際会議で発表したか、今後発表予定である。 H27年度は、26年度の成果を踏まえ、さらに異なる組織の培養動物細胞でもナノ秒パルス刺激条件の検討によるCa2+流入の制御を実現し、さらに(1)の成果と電気刺激とを合わせて細胞内情報蛋白質のトランスロケーションの電気制御を可能とし、動物細胞機能の電気制御の実現を図る計画である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果を関連する国内学会で発表したり、今後さらに国際会議の関連セクションで発表の予定(発表申し込み済み)である。
|
Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に進んでいるので、H27年度は予定通り、基礎研究の拡大と応用展開を図る。具体的には、 (1)神経系、内分泌系、免疫系の細胞内のCa2+濃度上昇や情報蛋白質のトランスロケーションを誘起する電気パルス条件を明らかにする。 (2)上記条件により、神経伝達物質、ホルモン、抗体の産生や分泌能を電気刺激により制御できることを示す。
|
Causes of Carryover |
ナノ秒パルス発生装置を自作したため、物品費が安くついた。ただし、種々の時間幅のパルスを安定に発生するための改良が必要で、残金はこの改良に使用予定です。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
種々の時間幅のパルスを安定に発生するナノ秒パルス発生装置の作製・改良に使用する。
|
Research Products
(3 results)