2014 Fiscal Year Research-status Report
クロマチン高次構造・核内配置に関与するXIST様非コードRNAの探索
Project/Area Number |
26650002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小布施 力史 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 教授 (00273855)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非コードRNA / 不活性X染色体 / XIST / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の次世代シーケンサーを用いたエピゲノム研究の進展により、DNAメチル化やヒストンマークなどの所謂エピゲノムマークの染色体上での分布の解析が盛んに行われている。しかしながら、これらは単なる印であって、この印を基に形成されるクロマチンの高次構造や核内配置がエピゲノムの実態としてさまざまなクロマチン機能の制御に関与していることは明白である。最近、申請者は、ヒストン修飾と、非コードRNA であるXISTに依存した不活性X染色体の凝縮機構を見いだした。本課題は、これら申請者の知見を含むXISTの性質を用いて、クロマチン高次構造や核内配置に関与するXIST様非コードRNAの探索を試みるものである。 XIST様非コードRNAの探索を行う準備段階として、XISTの局在について、米国のグループから発表されているRNA Antisense Purification (RAP)法によるマウスXISTの局在を、我々が解析を行ったヘテロクロマチン関連因子の局在、転写と比較することにより、XISTが濃縮している場所がどのような性質を持つクロマチン領域なのか議論できるようになった。また、ヒトXISTの局在をRNAFISH法を用いて可視化し、他のタンパク質やヒストン修飾とともに超解像度顕微鏡で観察するimmuno-RNA FISH法のプロトコールが完成した。特に、RNA-FISH法と免疫染色法の過程で如何にRNAを分解させないかが重要なポイントであることが分かった。これらの技術や知見は、XIST様非コードRNAの探索に有用なものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
XIST様非コードRNAを探索するにあたって、XISTの局在、エピゲノムマークやクロマチン因子の局在との関係をあらかじめ把握しておくことは必須な作業である。また、immuno-RNA FISH法は、XIST様非コードRNAを評価する上で必須な方法であり、これが確立できたことは本課題を今後進める上で前進である。
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Strategy for Future Research Activity |
XISTは不活性X染色体全体に局在し、細胞内の量も他のRNAと比べて比較的多く存在するため、例えばRNA FISH法によってクラウドとして容易に検出できる。しかしながら、これまでの解析により、XIST様非コードRNAは不活性X染色体と比べると圧倒的に狭い領域に局在していること、量的にもXISTと比べると圧倒的に少ないことが予想された。本年度の知見を参考に、XISTとその作用遺伝子群との関係において、同様の発現パターンを示すものをXIST様非コードRNAの候補として、XISTと同様に振る舞うかどうかを指標に探索を続ける。
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Causes of Carryover |
本年度は、RNA FISHを行うにあたって、主に手持ちのBACクローンを用いた解析を行ったため、BACクローンを購入する必要がなくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
RNA FISHを基軸としたXIST様非コードRNAの探索と並行しながら、siRNAを用いて候補XIST様非コードRNAを機能阻害して、このRNA依存的に局在するタンパク性因子の局在変化を観察する。このため、次年度使用額は、RNA FISH用のBACクローンの購入と候補XIST様非コードRNAに対するsiRNAとその導入試薬などに充当する。
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Research Products
(19 results)