2015 Fiscal Year Annual Research Report
植物病原細菌の化学物質による感染行動制御機構の解析
Project/Area Number |
26660035
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
一瀬 勇規 岡山大学, その他の研究科, 教授 (50213004)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | タバコ野火病菌 / 走化性 / MCP / 植物ホルモン / 有機酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
タバコ野火病菌Pseudomonas syringae pv. tabaci 6605 (Pta 6605)のドラフトゲノムシークエンスと全塩基配列が確定済みのP. syringae pv. pahaseolicola 1448Aや、pv. tomato DC3000、pv. syringae B728aのゲノム解析からPta 6605では少なくとも45個の走化性センサータンパク質遺伝子(methyl accepting protein (mcp)遺伝子)が存在することが判明している。このうち、近縁の動物病原細菌である緑膿菌には存在しないmcpを27遺伝子特定し、それらを前後の配列とともにクローニング後、それぞれの遺伝子内部を欠損させた27種類の変異株作出に成功した。一方で、Pta 6605の野生株を用いて各種化合物に対する走化性を解析した。その結果、Pta 6605はカイネチンなど10の化合物に対し正の走化性を示したが、酢酸など4つの化合物に対しては走化性を示さなかった。 次に、正の走化性を示したカイネチンに対し、各種mcp変異株の応答を解析したところ、mcp4, mcp15b, mcp24の各変異株ではカイネチン応答が顕著に低下した。mcp4, mcp15b, mcp24の各変異株は酵母抽出物に対しては野生株と同様な正の走化性を示したことより、MCP4, MCP15b, MCP24がカイネチンに対するセンサータンパク質である可能性が示された。また、mcp変異株の中でmcp6, mcp8, mcp9の各変異株では様々な走化性誘因物質に対し野生株より高い走化性を示した。このことは特定のMCPの欠損が、べん毛合成能や他のmcp遺伝子の発現増高等を引き起こす可能性を示唆している。本研究により予定していた全てのmcp欠損変異株を作出し、走化性誘因物質を特定できたため、予定していた走化性研究基盤を構築できた。
|
Research Products
(2 results)