2015 Fiscal Year Annual Research Report
腸内細菌学の明日を切り開く新規シンビオジェニック因子の探索
Project/Area Number |
26660071
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
栗原 新 石川県立大学, 生物資源環境学部, 寄附講座准教授 (20630966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 道憲 京都女子大学, 家政学部, 准教授 (00335308)
辨野 義己 国立研究開発法人理化学研究所, イノベーション推進センター, 特別招聘研究員 (40087599)
片山 高嶺 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (70346104)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 共生 / 腸内細菌 / コレステロール / 難培養性細菌 / シンビオジェニック因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸内細菌とそのホストであるヒトとの間の共生にはヒトから腸内細菌へ、あるいは腸内細菌からヒトへと受け渡され、共生を支える低分子化合物が関わっている。我々はこの低分子化合物を「シンビオジェニック因子」と命名し研究を行っている。本研究では新規シンビオジェニック因子をスクリーニング、同定し、その作用機序を解析することを目的として研究を行った。 腸内細菌は既存の培地では難培養なものが多く、ホスト由来の成分として牛ルーメン液などを添加した培地を用いることがこれまでに行われており、この中にホスト由来のシンビオジェニック因子が存在すると考えられる。本研究では食事成分の一部が特定の腸内細菌を生育させているという仮説を立て、サツマイモを摂取させた犬の糞便中の腸内細菌をサツマイモを添加した培地を用いて生育させ、得られたコロニーを16S rDNA配列を決定する手法によりその菌種を推定した。この結果、Fusobacterium varium JCM 6320と16S rDNA配列が97%が一致する腸内細菌がスクリーニングされた。しかしながら、本菌は安定的に培養をすることが出来ず、以後の実験を行うことが出来なかった。 ヒトにとって余剰のコレステロールは肝臓から十二指腸に排出され、小腸から再吸収される。このため、小腸からの再吸収を阻害することはコレステロール摂取を抑制するのに有効であり、この部分をターゲットとした薬剤も開発されている。本研究では「腸内細菌の代謝産物がシンビオジェニック因子として働き、コレステロール輸送ABCトランスポーターの活性に影響を与える」という仮説のもとスクリーニングを行った。この結果、複数の腸内細菌由来成分がABCトランスポーターによるコレステロール排出を促進すること、マクロファージにおける炎症応答を抑制することを見出した。
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