2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26660111
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
裏出 令子 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90167289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 正明 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (10253395)
佐藤 信浩 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (10303918)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グリアジン / グルテニン / SAXS / SANS / ナノ構造 / β‐コングリシニン / グリシニン / 動的粘弾性 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子ビーム小角散乱解析,物性解析及び化学的手法を組み合わせて,小麦タンパク質凝集体のナノおよびメゾスケール構造と物性との関係を解明することを目指した。小麦グルテンの主要タンパク質であるグリアジンは,純水中ではきわめて希薄な濃度ではモノマーとして存在するが,1-10wt%では大部分がオリゴマー以上の会合体となって溶けており,その際に,ωグリアジン及びγグリアジンは特異性のある相互作用でダイマーを形成し,さらに大きな会合体を形成することを明らかにした。さらにSAXS及びSANS解析により,グリアジンは10-30wt%ではナノスケールの凝集体ドメインを形成し,40wt%以上では,それらが集合してメゾスケールの凝集体ドメインを形成することを明らかにした。また,NaCl存在下ではその濃度に依存してグリアジンのナノスケール凝集体ドメイン間の距離が短縮し,より大きな凝集体が形成されることを明らかにした。一方,もう一つの主要タンパク質であるグルテニンのナノスケール構造はNaClによってほとんど変化せず,動的粘弾性の変化もグリアジンと比較すると小さいことを明らかにした。グルテンのNaClによる動的粘弾性の変化はグリアジンのそれと類似していたことから,NaClの物性への影響は主にグリアジンの凝集体構造の変化を介してもたらされていることが明らかとなった。ダイズタンパク質グリシニン及びβ‐コングリシニン溶液の加熱によるゲル化では,これらのタンパク質の変性に伴い,SAXSプロファイルが大きく変化することが明らかになった。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Molecular assembly of wheat gliadins into nanostructures: A small- angle X‑ray scattering study of gliadins in distilled water over a wide concentration range.2016
Author(s)
Sato, N., Matsumiya, A., Higashino, Y., Funaki, S., Kitao, Y., Oba, Y., Inoue, R., Arisaka, F., Sugiyama, M., Urade, R.
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Journal Title
J. Agric. Food Chem.
Volume: 63
Pages: 8715-8721
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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