2015 Fiscal Year Research-status Report
森林における腐植酸鉄の挙動と河川流下過程における物理化学性及び生物利用性の変化
Project/Area Number |
26660127
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
福島 慶太郎 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (60549426)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 溶存有機物 / EEM-PARAFAC / 腐植様物質 / タンパク様物質 / 溶存鉄 / 土地利用 / 塩分 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本海丹後海にそそぐ京都府由良川と,気仙沼湾にそそぐ宮城県大川と対照に,河川上流から沿岸河口域にかけて溶存有機物と溶存全鉄の時空間分布を解析した。溶存有機物は,溶存有機態炭素(DOC)濃度と,3次元励起蛍光特性(EEM)を測定対象とし,EEMについてはPARAFAC解析を施して複数の腐植様物質とタンパク様物質に区分し,それぞれのコンポーネントの相対蛍光強度を算出した。採水地点の水質と土地利用との関係から,耕作地面積率がDOC濃度,腐植様物質および溶存鉄のソースとして機能していたのに対し,市街地面積率はタンパク様物質のソースとして重要であることが分かった。 河川水と合わせて,湾内の海水および広葉樹・針葉樹・耕作地・水田の4種の土壌から抽出した土壌抽出液を対象として溶存有機物と溶存鉄を調査した。その結果,他生成の腐植様物質は,河川水・海水・土壌抽出液とも共通に検出されたが,自生性腐植様物質は土壌抽出液で検出されなかった。耕作地や市街地からの排水は窒素やリンも多量に含まれるため,植物プランクトンの繁殖を招き,その結果,自生性腐植様物質およびタンパク様物質が増加したものと考えられた。 汽水域の環境変化を模して,土壌抽出液に対して段階的に塩分を添加した際の溶存有機物と溶存鉄の濃度変化を調べた。その結果,塩分の上昇に対して腐植様物質の蛍光強度が上昇し,溶存鉄濃度が低下する傾向が見られたが,土地利用ごとでその応答が異なっていた。森林由来の土壌では,腐植様物質の蛍光強度の上昇率,溶存鉄の残留率とも高く,他の土地利用に比べて河川から海域に輸送されやすいことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
河川流下過程と沿岸河口域における溶存有機物と溶存鉄の動態,および森林と他の土地利用で生成される腐植様物質と溶存鉄の性質の違いを明らかにすることができ,当初計画に対して概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
土壌抽出的を用いた塩分添加実験および太陽光照射実験の追試を行い,より一般的な傾向を把握する。とくに,DOCの構成について,EEM-PARAFAC法と並行して,XAD-8樹脂を用いた分画や化学処理による分画を用いて,DOCとFeの挙動に関する詳細なデータを得る。さらに,植物体やリターなどの鉄含有量も調べ,森林生態系内の鉄循環様式についての調査も行う。
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Causes of Carryover |
予定していた研究協力による謝金について,支出する必要がなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験に必要な化学薬品の購入に充て,研究を計画通り進める予定である。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Factors contributing to soil nitrogen mineralization and nitrification rates of forest soils in the Japanese archipelago.2016
Author(s)
Urakawa R, Ohte N, Shibata H, Isobe K, Tateno R, Oda T, Hishi T, Fukushima K, Inagaki Y, Hirai K, Oyanagi N, Nakata M, Toda H, Kenta T, Kuroiwa M, Watanabe T, Fukuzawa K, Tokuchi N, Ugawa S, Enoki T, Nakanishi A, Saigusa N, Yamao Y, Kotani A.
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Journal Title
Forest Ecology and Management
Volume: 361
Pages: 382-396
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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