2015 Fiscal Year Research-status Report
細菌のリグナン変換反応を利用したリグニン芳香核組成の単純化
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26660143
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梅澤 俊明 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (80151926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 史朗 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (70437268)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リグニン / リグナン / 芳香核変換 / 脱メチル化 / 脱水酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
リグニンの有効利用法の確立は、再生可能資源の内で最も多量に蓄積している木質(リグノセルロース)の利活用において至要の課題である。リグニンの有効利用法の確立においては、リグニンの構造の複雑性の低減がかぎとなる。そこで、本研究では、従来未開拓の反応系を適用して、リグニン芳香核の置換基の改変除去による構造単純化を図ることを最終目的としている。本年度は、ウメ果皮から大量に調整したリグニンをラットに給餌し、腸内細菌の変動を次世代シークエンサーを用いてメタゲノム解析した。また、脱メチル化酵素(Sphingomonas pautimobilus SYK-6由来)を大腸菌にて発現させ、粗酵素液を得た。この粗酵素液に各種リグナン類(secoisolariciresinol、matairesinol、pinoresinol、medioresinol)を基質として窒素雰囲気下で反応させ、生成物質をGC-MSにて分析したが、対応する脱メチル化リグナンと思われるピークは検出されなかった。そこで、嫌気性菌の脱メチル化酵素について網羅的に文献検索し、候補遺伝子および産生菌に絞込みを行った。平行して、脱メチル化反応において生成する標準物質を有機合成した。これまで、2つのメチル基が脱離したdemethylsecoisorariciresinol およびdemethylmatairesinolを合成した。また、matairesinolに存在する2つのメチル基のうち、片方のメチル基が脱離した2種類の異性体の合成を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね計画通り進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、ラット腸内におけるリグナン及びリグニンの変換反応を網羅解析する。さらに、昨年度のデータベース解析で脱メチル化酵素遺伝子群のクラスターの存在が見出されたBlautia productaにつき、理化学研究所バイオリソースセンターから菌株を入手し、嫌気培養を行う。B. producta菌液にsecoisolariciresinolおよびmatairesinolを投与し、脱メチル化リグナンを同定する。ついで、B. producta菌液より粗酵素を嫌気性条件で抽出し、secoisolariciresinolおよびmatairesinolを基質として脱メチル化反応を行い、生成物をGC-MS分析する。大腸菌にB. productaクラスター由来の遺伝子を発現させ、secoisolariciresinolおよびmatairesinolを基質とした脱メチル化反応活性を確認する。さらに、本酵素について、種々のリグニン関連メトキシ化芳香族化合物に対する脱メチル化活性を検証する。 以上に基づき、リグニン由来低分子芳香族化合物の芳香核組成単純化の基盤構築を進める。
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Causes of Carryover |
年度末の出張において、先方負担が発生したことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究打ち合わせ旅費として執行する。
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Research Products
(2 results)