2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26660205
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 哲仁 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00723115)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 雄一 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20373285)
佐藤 格夫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30409205)
平川 慶子 日本医科大学, 医学部, 助教 (30165162)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 非破壊計測 / テラヘルツ波 / 細胞 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
生体とTHz波の相互作用を理解し,THz波の農産物評価や食品機能探索技術への応用可能性を探索するために,細胞の複素誘電率計測を実施し,それらの物性値と品質(水分含量)との関係を評価した.さらに,細胞への酸化ストレスモニタリングに関する研究を実施し,機能性食品開発への応用を目指した酸化ストレス応答計測への応用を探索した. まず,全反射減衰分光法(ATR法)と時間領域分光法を組み合わせた手法を用いて,タマネギの鱗片葉やナスの表皮を測定した結果,水分量に応じて光学定数も系統的に変化することが確かめられ,農産物鮮度の評価可能性が示唆された.また,将来的に細胞内の水分子の評価を行うために,糖やタンパク質の水溶液を系統的に測定して複素誘電率のスペクトルを解析した結果,水分子のダイナミクスを評価できることが明らかとなった.また,汎用的なフーリエ変換型分光器であっても,Kramers-Kronig(KK)変換を用いることで複素誘電率を導出することが可能になるが,高周波帯域の実測データが必要となる.そこで,THz帯と中赤外領域の各々においてフーリエ変換型分光器で水溶液の測定を行い,それらをつなぎ合わせてKK変換することで複素誘電率を導出することに成功した. 細胞への酸化ストレスモニタリングの研究では,培養した動物細胞に過酸化水素を添加し,細胞内に誘起された変化を検出できるかを検証した.細胞内の変化が微小なためATR法では検出できなかった一方,CSRR(微小な金属共鳴器を配列した構造物)を用いて増強電場を作り出し,そこに培養細胞を配置して反射測定することで,細胞内の反応を経時的に計測することに成功した.細胞から抽出した1つのストレスマーカーの単一反応経路に着目する従来の評価法とは異なり,本研究では細胞内全体の水の動態を評価できるため,機能性についてより詳細に検証できる手法になると期待される.
|
Research Products
(4 results)