2015 Fiscal Year Annual Research Report
新たに発見したデスアシルグレリンの体温低下作用による家畜の熱中症防止の検証
Project/Area Number |
26660213
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
村上 昇 宮崎大学, 農学部, 教授 (80150192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 郁雄 宮崎大学, 農学部, 准教授 (20576293)
中原 桂子 宮崎大学, 農学部, 准教授 (90315359)
北原 豪 宮崎大学, 農学部, 助教 (90523415)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 体温調節中枢 |
Outline of Annual Research Achievements |
以前に著者らはデスアシルグレリン(DAG)が体温調節中枢である視索前野の神経細胞を活性化し、副交感神経系を亢進することで体温低下作用を示すこと、また、DAG投与が高温暴露による体温上昇を抑制し生存率を向上させることを報告した。この体温低下作用はDAGの中枢と末梢のいずれの投与でも発現したことから、末梢投与したDAGが血液脳関門を通過して中枢に作用した可能性、あるいは末梢血管に直接作用した可能性が推測される。そこで、本研究ではDAGの血管に対する直接的作用について、および、そのメカニズムについて血液生化学的パラメータを指標として検討した。成熟ラットから大動脈及び尾動脈を採取し、リング標本を作製して、tyrode液で灌流したマグヌス管内で安定化させた。フェニレフリンで収縮させた後、DAG (2μM) を投与し、弛緩反応を測定した。また、NG-nitro-L-arginine methyl ester (L-NAME) 前投与下において同様の実験を行った。その結果、DAG投与によって、大動脈及び尾動脈は有意な弛緩反応を示した。また、この弛緩反応はL-NAME前投与により有意に抑制された。このことから、DAGが内皮依存性に一酸化窒素を介して、血管を弛緩させたことが示唆された。次に、ラットを通常飼育の23度から35度の高温室に移し、DAG(10nmol)を腹腔内に投与した後、腹大静脈から採血を行い、富士ドライケムを用いて血清AST、ALT、BUN、creatinin、Na+、K+、Cl−をそれぞれ測定した。その結果、高温暴露による血清AST、ALT、BUN、creatinin、 K+の上昇がDAG投与によって有意に抑制された。このことからDAG投与が高温暴露による肝臓や腎臓をはじめとする組織の障害を抑制し、さらに高カリウム血症を阻止したことが示唆された。
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Research Products
(6 results)