2014 Fiscal Year Research-status Report
神経細胞のフラビウイルス感受性を規定する宿主因子:細胞分化からのアプローチ
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26660222
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 享史 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 教授 (90261338)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日本脳炎ウイルス / 神経細胞 / ウイルス感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト、動物の日本脳炎ウイルス(JEV)に対する感受性は加齢に伴って低下することが知られている。本現象の背景にはJEVの標的細胞である神経細胞の分化・成熟レベルが関与していると考えられており、加齢に伴って分化・成熟した神経細胞は胎生期、新生子期の未熟な神経細胞に比較してJEV感受性が低いことがin vivoの動物実験によって示唆されている。しかしながら、その詳細な分子メカニズムは不明である。そこで、分化依存的にJEV感受性の低下を示すラット中脳由来神経細胞株CSM14.1をin vitroモデル系として用い、分化状態によって発現が変動し、かつ神経細胞のウイルス感受性に関与する未知の宿主遺伝子を同定・機能解析する目的で、平成26年度は以下の実験を行った。 マイクロアレイ法により、JEV高感受性を示す未分化CSM14.1細胞、8日齢ラット脳と低感受性を示す分化CSM14.1細胞、17日齢ラット脳の遺伝子発現を比較した。未分化CSM14.1細胞は分化CSM14.1細胞に比較してより多くのウイルス粒子を細胞内に取り込むことが明らかになっている。そこで、未分化CSM14.1細胞での発現が分化CSM14.1細胞に比較して高い遺伝子群のうち、エンドサイトーシスに関連する候補遺伝子4個をクローニングし、発現コンストラクトを作成した。また、分化CSM14.1細胞での発現が未分化CSM14.1細胞に比較して高い遺伝子群のうち、エンドサイトーシスに関連する候補遺伝子3個をクローニングし、発現コンストラクトを作成した。また、分化CSM14.1細胞への遺伝子導入方法について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロアレイ法による解析とそれにより選別された候補遺伝子のクローニングが終了し、JEV感受性への影響の検討を開始していることから、当初の計画どおり順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に引き続き、クローニングしたエンドサイトーシス関連遺伝子のJEV感受性への影響を検討する。また、未分化CSM14.1細胞と分化CSM14.1細胞のそれぞれにJEVを感染させ、インターフェロン(IFN)誘導の際に関与する宿主分子をパスウェイ特異的なリアルタイムPCRアレイを用いて比較する。これによってJEV感受性への関与が推測されたIFN誘導経路に関しては、シグナル伝達分子の発現、リン酸化の程度をイムノブロット法で比較する。
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Research Products
(2 results)