2014 Fiscal Year Research-status Report
持続感染培養系を用いたノロウイルスの変異機序の解明
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26660231
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
花木 賢一 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (40376421)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ノロウイルス / 培養細胞 / 持続感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスノロウイルス(MNV)2株について持続感染細胞の樹立を試みた。樹立された2種の細胞は、以下のように異なる性状を示した。MNV-1持続感染細胞(MNV-1CC細胞)は接着(二次元)増殖性を示し、その増殖能は未感染RAW264.7細胞の47%であった。また、培養上清中のウイルスRNA総量は播種直後に9.2E+6コピー、7日目に3.5E+8コピーであった。一方、 MNV-S7持続感染細胞(MNV-S7CC細胞)は浮遊または接着(立体)増殖性を示し、その増殖能は未感染RAW264.7細胞の72%であった。また、培養上清中のウイルスRNA総量は播種直後に5.7E+8コピー、7日目に7.7E+10コピーであった。 MNV-S7CC細胞について蛍光顕微鏡と透過電子顕微鏡にて観察を行った。抗MNV血清を用いた間接蛍光抗体法によるとほぼ全ての細胞がMNV抗原陽性で、抗原は細胞質内で顆粒状に分布していた。透過型電子顕微鏡で形態がしっかり保持されている細胞を観察すると、感染細胞では認められなかった電子密度の高い集塊を認めた。その集塊部分を拡大して観察すると、20 nm強のウイルス粒子と考えられる粒子の集合体が観察された。MNV-S7CC細胞の培養上清を試料としてネガティブ染色を行って観察すると、MNVと思われる丸い粒子(35.4±2.4 nm)を観察することができた。 MNV-1CC細胞は細胞増殖が悪くウイルス産生量が少ないことから継代培養を一時中止しているが、MNV-S7CC細胞は26ヶ月、130継代に及んでいる。カリシウイルス科ウイルスの持続感染細胞樹立についての報告は確認できないため、本報告が世界初の事例になると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度計画した2つの課題の内「持続感染細胞の細胞増殖能とウイルス増殖能の関係を明らかにする」は予定通りに実施して結果を得た。もう一つの「持続感染細胞の形態学的解析」もほぼ予定通りの進捗であるが、免疫電顕法による観察が条件検討の段階で止まっている。しかし、電子線トモグラフィー解析により免疫電顕法に依らない細胞内ウイルス粒子同定ができている。そのため、免疫電顕法と同等以上の確証が得られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
MNV-S7CC持続感染細胞は100継代、2年以上の培養できていることから、シードロットを作製してその細胞が産生するウイルスの全長ゲノム解析を行う。また、継代毎に保存している培養上清中ウイルスの全長ゲノム解析を1、51、101継代目について行い、変異の程度を考慮して他継代時の培養上清中ウイルスについてもゲノム解析も行う。 研究代表者が4月1日より所属機関を変更することになり、研究体制の変更が不可避である。また、新しい実験室立ち上げの必要から研究計画の遅延が予想される。研究体制の変更については、顕微鏡解析は共同研究として継続する。培養維持とシークエンス解析は新たに研究分担者または研究協力者を加えて対応する。
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Causes of Carryover |
平成27年度に所属機関を異動するため、その準備のために3月は研究を中断せざるをえなくなった。それに伴い、3月に使用する予定であった細胞培養関連試薬購入を中止したため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は3月に使用する予定であった細胞培養関連試薬購入に充当する。
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