2015 Fiscal Year Annual Research Report
腸管寄生性コクシジウム原虫のシゾント形成機構の解明
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26660253
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
辻 尚利 北里大学, 医学部, 教授 (70355171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松林 誠 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (00321076) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 獣医学 / 原虫感染症 / シゾント |
Outline of Annual Research Achievements |
出血性の下痢を主徴とする家禽・家畜のコクシジウム症は、腸管粘膜に形成される『シゾント』と呼ばれる虫体の増殖によって惹起される。最終年度にあたる本年度は、メロゾイトの集合体であるシゾントにおけるワールブルク現象の分子機構とシゾント形成過程における、エネルギー代謝の時間・空間的な挙動を論理的に示す代謝マップの作成に取り組んだ。 1. シゾント形態制御の分子機構と生理機能の解明:シゾントに構築されている低酸素応答機構を細胞内外、メロゾイト間に構築されたネットワークとしてとらえ、組織レベルの低酸素応答機構を明らかにするために、①細胞・臓器のトランスクリプトーム解析(結果:次世代シーケンサーを用いて盲腸上皮細胞に寄生したシゾントの遺伝子発現パターンを解析によって、低酸素応答情報伝達経路に参画する分子群の選抜に至り、原虫での代謝ドラフトマップを作成することができた。②低酸素応答分子の局在(複数の分子を同時に可視化する多重染色によって、分裂と増殖過程における分子間連携・変動を明らかにすることができた)。③HIF-1を中心とした低酸素応答経路の機能解明(HIF-1αの細胞質内での量的、質的な挙動を明らかにし、糖の能動輸送に関わるGlucose transporter-1など増殖因子の転写誘導を検証することができた)。 2. マルチノックダウン原虫の作出によるシゾント形成ネットワーク機構の解明:①dsRNAを注入したマルチノックダウン原虫を用いて、参画分子の発現量を計測してシゾント形成に与える影響を明らかにすることができた。②パスウエイ解析によって、①へのアレイ解析導から関連遺伝子の発現が定量的に行われ、シゾント形成ネットワーク参画分子の変動と参画分子以外の遺伝子群との相関を明らかにすることができた。
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