2015 Fiscal Year Research-status Report
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26660285
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Research Institution | University of Human Environments |
Principal Investigator |
守村 敦郎 人間環境大学, 人間環境学部, 教授 (40340393)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 位置情報 / 屋外展示 / 植物園 / GIS / スマートフォン / Bluetooth |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、植物園等の屋外展示施設における既存のラベルや看板などの情報案内方式に加え、新たにIT技術の活用、つまりスマートフォンとBluetoothビーコン(小型の電波発信機)による近接測位技術を利用した屋外展示や誘導等を行う上での技術的課題を明らかにするとともに、これを用いた空間評価手法等の開発を通じ、国内の植物園、ひいては屋外展示施設全般の発展に資することを目的としている。 平成27年度は2年から3年に延長した研究期間の2年目にあたるが、研究活動外の事由により十分なエフォートを得ることができず、実績としては平成26年度に作成したスマートフォンアプリのプロトタイプのさらなる改良と情報収集を行うに留まった。 平成28年度は最終年度として実証実験を行い、これにより得る成果と課題を明らかにする。情報提供手段としての技術的検討とともに、大きな要素の1つであるコンテンツに関しては、開花情報のような植物園にあって特徴的なもののほか、既存のネットワークリソースを位置情報と結びつけ、スマートフォンアプリによる情報提供の中で効果的に活用するモデルについても検討する。 研究開始から2年が経過し、この間にも英キュー王立植物園をはじめ主要な植物園のいくつかでビーコンを用いた園内情報提供の事例が増加するなど、もはやビーコンとスマートフォンアプリの連動は屋外展示施設においても当たり前のものとなりつつある。しかしこれらの事例は作り込まれたリッチなコンテンツの存在を前提とし、作成や維持に多額の費用を要していると考えられることから、我が国の植物園では導入しがたい部分も存在する。本研究では上記のように、すでに蓄積されたネットワークリソースを活用した情報提供モデルを開発することで、こうしたコストに関わる課題にも取り組む計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最終年度の計画にある実証実験を行う上での、スマートフォンアプリの仕様やコンテンツ、ビーコンの配置等の詳細な検討にまだ着手できておらず、早急にとりかかる必要がある。また研究の過程において、当情報提供モデルをいかに持続的に運用可能なものとするかという課題が浮上しており、これについての検討が必要となってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は研究環境を改め、エフォートを増加させるよう努める。また少なくとも今年度の初秋には実証実験に取り掛かれるよう、システムの構築を急ぐものとする。 なお、本研究の遂行にあたり、平成26年度実績において遅延項目ともなっていたBluetoothビーコンの受信信号強度をもとにした幾何的な自位置推定については、研究計画から除外することとした。広大な面積を有する植物園内にあって、使用箇所は高密度に植栽されたバラ園など限定的であり、また高精度を実現するためのその場所や時期に応じた環境分析(フィンガープリントの取得)に多大な労力を必要とし、一般の植物園での活用は現実的でないと判断したのがその理由である。その代わりとしてBluetoothビーコンによる自位置推定はApple等も推奨する段階的な近接度を用い行うが、本研究計画の遂行においては十分な機能を提供するものであり問題はないと考える。
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Causes of Carryover |
研究実績の概要でも述べた通り、研究活動外の事由により十分なエフォートを得ることができなかったことや、物品の購入等を他の科学研究費や所属機関の教育研究費で賄った部分もあったことから、当年度の使用額は少額に留まった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実証実験用のビーコン(100から150個を予定)の購入とArcGIS for Desktopの保守費用に約30万円を支出する。また当助成事業に係るプログラミングやその他の研究活動全般において使用しているデスクトップPCが7年前に生産されたものであり陳腐化が進んでいることから、これのリプレイスに要する費用として約20万円を支出する。残額については旅費、消耗品費、謝金等にあてる。
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