2017 Fiscal Year Annual Research Report
Lipid mediators and mast cells are involved in M2 macrophage accumulation and spinal injury repair
Project/Area Number |
26670030
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
杉本 幸彦 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (80243038)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | プロスタグランジン / M2マクロファージ / 脊髄損傷 / 脈絡叢 / マスト細胞 / ケモカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
脳室周囲器官の脈絡叢では、上皮細胞層が血管を包み血液と脳脊髄液を隔離する。脊髄損傷では、末梢血由来のM1とM2のマクロファージが損傷部位に順次出現するが、M1は脊髄の血管から、M2は脈絡叢の血管から漏出し損傷部に集積する。こうしたM2の集積は脊髄修復に必須であり、M2への分化は脈絡叢の漏出時に起こる。しかし、脈絡叢でどの細胞がM2配向性を決めるのかは不明である。研究代表者は、脳内マスト細胞が脈絡間質に存在し、プロスタグランジン(PG)など脂質メディエーターの産生酵素などの遺伝子を特異的に発現することを見出した。PGは局所環境に応じてM1/M2分化を制御し、炎症を負に制御して組織修復を促進することから、脈絡層マスト細胞は、PG依存的にM2配向性と組織修復を規定するのではないかと仮説を立てた。本研究の目的は、脈絡層マスト細胞がM2分化と脊髄修復に関与するか、脈絡叢マスト細胞の放出するPGがM1/M2分化や損傷局所の修復をいかに制御するか、を明らかにすることである。脊髄損傷のマウスモデル系を確立し、マスト細胞欠損やPG産生阻害剤、PG受容体欠損やマスト細胞再構成の効果を検討した。その結果、一定の成果が得られ、挑戦的萌芽研究としての目的が達成された。すなわち、本病態モデルの組織修復プロセスにマスト細胞とPGの関与が示唆され、責任PGによる修復調節の分子機構の解析へ移行した。一方、脈絡叢と同様に、上皮と血管が混在する皮膚組織ではマクロファージが炎症惹起に伴いT細胞に抗原提示を行うが、どこで抗原提示されるのか不明であった。研究代表者は、炎惹起相の皮膚では血管周囲に誘導型皮膚関連リンパ網内系組織(iSALT)が形成されること、本組織の集積にはマクロファージの産生するCXCL2が重要な役割を果たすことを見出した。
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