2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26670131
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
澤 智裕 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (30284756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井田 智章 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70570406)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / プロテオミクス / 翻訳後修飾 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質ポリチオール化は、タンパク質中のシステインチオール基(-SH基)にさらにイオウ原子が付加する(-SSH)反応で、ある種の酵素反応の中間体(rhodanase等)としての生成などが報告されている。しかしながら、実際の細胞内でどのようなタンパク質にポリチオール化が起こっているのか、またそれがどのように制御されているのかはほとんどわかっていない。またタンパク質ポリチオール化を検出・同定する解析方法が報告されているものの、選択性や特異性に問題が指摘されている。本研究では、タンパク質ポリチオール化を選択的に検出する反応条件を検討し、それを基盤としたプロテオミクスを構築するとともに、これまでほとんどわかっていない生体内におけるポリチオール化反応の制御機構を明らかにすることを目的としている。本年度は、ポリチオール化タンパク質を特異的に標識するビオチンラベル化法を構築した。具体的には、MSBT (methylsulfonyl benzothiazole)にてポリチオール基を修飾した後、シアン化ビオチンにて特異的に置換反応を誘導することでポリチオール基にビオチン残基を導入した。これに対して、アビジン化ペルオキシダーゼを反応させることでウェスタンブロット法によってポリチオール化タンパク質の検出に成功した。さらに修飾タンパク質を2次元電気泳動で展開し、そのスポットを消化したサンプルを質量分析にて解析することで、ポリチオール化タンパク質の網羅的解析が可能であることを明らかにした。システインパースルフィドの生成酵素のひとつであるシスタチオニンγリアーゼの強制発現により、細胞内のポリチオール化タンパク質のバンド強度が増強した。このことから、当該法が細胞内のポリチオール化タンパク質の優れた検出法として適応可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該方法により、試験管内での反応のみならず、培養細胞におけるポリチオール化タンパク質の検出に成功した。さらにプロテオーム解析の結果、20種以上のタンパク質の同定に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
当該方法の反応条件を検討する中で、ポリチオール基に対するMSBTの反応性ならびに、その後のシアン化ビオチンの置換反応の効率をより改善させる必要性が分かってきた。今後は、ラベル化効率の向上を目指して解析を進めるとともに、細胞内でのポリチオール化タンパク質の機能解析をすすめる。
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Causes of Carryover |
試薬品の費用を節約する事ができた為。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度の試薬として使用する。
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[Journal Article] Reactive cysteine persulfides and S-polythiolation regulate oxidative stress and redox signaling.2014
Author(s)
Ida, T., Sawa, T.,Ihara, H.,Tsuchiya, Y., Watanabe, Y., Kumagai, Y., Suematsu, M., Motohashi, H., Fujii, S., Matsunaga, T., Yamamoto, M., Ono, K., Devarie-Baez, N. O., Xian, M., Fukuto, J. M., and Akaike, T.
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Journal Title
Proc. Natl. Acad. Sci. USA
Volume: 111
Pages: 7606-7611
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] The redox chemistry and chemical biology of H2S, hydropersulfides and derivaed species: implications to their possible biological activity and utility.2014
Author(s)
Ono, K., Akaike, T., Sawa, T., Kumagai, Y., Wink, D. A., Tantillo, D. J., Hobbs, A. J., Nagy, P., Xian, M., Lin, J., Fukuto, J.
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Journal Title
Free Radic. Biol. Med.
Volume: 77
Pages: 82-94
DOI
Peer Reviewed
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