2016 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on pathogenesis of failure of vascular integrity and fate in pathological vascular remodeling.
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26670177
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中川 和憲 九州大学, 医学研究院, 講師 (50217668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼丸 満穂 九州大学, 医学研究院, 助教 (00380626)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / Dアスパラギン酸 / 石灰化 / 血管リモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
病的な血管リモデリングである粥腫病変(アテローマ)の成立機転と、その後の病態転帰について解明するため、剖検症例の冠状動脈の硬化内膜の物性病態、特に非細胞的化学変化との関りを探る視点から、アミノ酸のラセミ体(Dアミノ酸)の存在蓄積状況について解析した。指標に構造的に変換が起きやすいとされるDアスパラギン酸(D-Asp)を対象に、進行病変を脂質プール主体病変、壊死巣を有するものに分類し、またそれぞれ石灰化病変の有無に留意しつつ、その局在状況を検討した。昨年までの解析では、血漿由来抗原に対する陽性反応があり、厳密に特異反応の病理学的意義を解析考察する目的で、本年度はKLHをハプテンとする抗D-Asp抗体によって追証も行った。その結果、D-Aspは、初期病変段階の内膜硬化巣は総じて陰性であり、前粥腫病変(AHA III型に該当)症例で12.5%、粥腫病変の脂質プール主体病変症例で66.7%(石灰化なし60.0%、石灰化有77.8%)、壊死巣を有する症例では81.8%(石灰化なし81.3%、石灰化有82.4%)に、内膜内の存在を確認した。D-Aspは、(1)硬化内膜の細胞外基質や病巣底部に斑状に陽性であること、(2)基本的には石灰化領域とは独立した領域に陽性であり、(3)壊死巣含有病変ではその周囲により顕著に陽性を認めた。以上より、D-Aspは、石灰化ではなく、前粥腫病変からアテローマへの進展と相関しており、細胞外基質タンパクの構造異型などを招来することで、脂質の沈着の促進あるいは壊死巣形成といった病態の変遷・転帰に影響している可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)