2015 Fiscal Year Research-status Report
遺伝的多様性を高めるヒトの配偶者選択と繁殖行動に関する行動遺伝学的解析
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26670328
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 華 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80401032)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 配偶者選択 / 血縁淘汰 / 近親婚 / インドネシア |
Outline of Annual Research Achievements |
増え続ける世界人口と食糧安全保障の観点から、出生コントロールは次世代環境を保証し評価する上で重要な課題である。また一方で、集団規模の小さい部族社会の弱小化と固有文化の消失を招き、そのような集団は今まさに淘汰される途上におかれている。インドネシア・ヌサトゥンガラ諸島に残っている、近親婚を好む人類集団では、出自による婚姻の社会規制を設けることで、種族としての存続と有資財産や人間の出戻りを防止してきた。このような社会慣習や規制が、集団内の実際のヒトの繁殖行動にもたらす生物学的意義について、家系別に遺伝的多様性と繁殖率を分析することを本研究の目的とする。 血縁婚を好むヒト集団について、東スンバ以外に、ヌサトゥンガラ諸島のティモール島、ロンボク島において探索を試みたが、東スンバのものほど社会規制が明白な集団は見つからなかった。調査の対象集団は、近親婚を好む社会制度が現在も維持されている東スンバ県に絞り、縦断的な人口センサス、すなわち人の出生・流入および死亡・転出に関するデータ収集を継続し、世代を遡った血縁関係についての聞き取り調査を実施した。 DNA試料を用いた遺伝的解析では、母親由来のミトコンドリアDNA(mtDNA HV1)とY染色体(Y-STR)ハプロタイプを同定し、配偶者間と親子間の比較を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東スンバとの比較を検討していた別の調査地の選定には至らなかったが、既に収集したDNA試料に関する血縁情報は更新できた。
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Strategy for Future Research Activity |
インドネシア現地において新しい調査協力者として、インドネシア・マカッサルのハサヌディン大学の研究者に加わってもらえることになった。遺伝子分析において、当初計画にはなかったが遺伝子解析ツールの刷新により、DNAメチル化解析を取り入れた新たな展開を予定している。
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Causes of Carryover |
実験室におけるDNA試料の分析が継続中のため、次年度使用額として残した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験室における試料の分析に使用する。
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