2017 Fiscal Year Annual Research Report
Behavioral genetic study on human mate choice and reproductive behavior related to the genetic diversity
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26670328
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
清水 華 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 上級研究員 (80401032)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 配偶者選択 / 遺伝的多様性 / 異胞 / インドネシア / 繁殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
出生コントロールは、増え続ける世界人口と食糧安全保障の観点から、重要な保健課題である。近年、社会のグローバリゼーションにより、集団規模の小さい部族社会の弱小化と固有文化の消失を招き、そのような集団は今まさに淘汰される途上におかれている。部族の母集団を維持し、子孫存続や物資調達のために継承されてきた婚姻に関する社会的規制が、実際のヒト集団内において繁殖行動にもたらす生物学的意義について、遺伝的多様性と繁殖率を分析することを本研究の目的とした。近親婚を好む対象集団にインドネシア・ヌサトゥンガラ諸島の東スンバ人を選定した。近親婚が奨励されていて、婚姻を親がアレンジする慣習の残っている対象集団において、母親もしくは父親の配偶者選択が出自集団の繁殖に及ぼす影響を、ヒト個体群別に生物学的側面から調査解析した。近親婚による出生数は、非近親婚のそれを上回り、近親婚では多産の傾向があった。母親もしくは父親の繁殖行動が子どもの生存と配偶者選択に及ぼす遺伝的影響と社会的要因を検証した。近親婚を好む人類集団では、異質な遺伝子ハプロタイプに富む集団と比べて、配偶者選択が遺伝的多様性に及ぼす影響が大きい。また親によるアレンジ婚では、自己の意思に寄らない婚姻が多いので離別や不貞が増加し、異胞きょうだいの増大をもたらしていることが示唆された。そして、家系内の遺伝的多様性は、このような社会規制や繁殖行動により、異質素因の取り込みに寄与し、遺伝多型の均一化を回避するなど遺伝的多様性の増大に成功している可能性が考えられた。
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