2015 Fiscal Year Research-status Report
レジリエンス・エンジニアリングによる新たな医療安全文化を醸成するシステムの開発
Project/Area Number |
26670353
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
宇城 令 愛知県立大学, 看護学部, 准教授 (40438619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 剛 自治医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10291634)
淺田 義和 自治医科大学, 医学部, 助教 (10582588)
高山 詩穂 聖徳大学, 看護学部, 講師 (00625999)
市田 勝 自治医科大学, 医学部, 講師 (30306146)
鈴木 義彦 自治医科大学, 医学部, 講師 (70281334)
河野 龍太郎 自治医科大学, 医学部, 教授 (90468330)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | レジリエンス・エンジニアリング / 医療安全 / 安全文化 / 行動分析 / インシデントレポート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、レジリエンス(柔軟で強靭)という組織や人間のもつ特性を工学システムに導入し、緊急事態などストレス状況におかれた組織や個人が、その状況にうまく対処していく能力に注目した、レジリエンス・エンジニアリングによる新たな医療安全文化を醸成するシステムを開発することである。 今年度の研究実績は、まず、各施設における研究実施において倫理審査委員会の承認を全て得て、研究を開始したことである。その後、対象施設及び部署へ研究の進め方を説明し、改めて、研究を実施するに際して同意を得た上で研究を実施した。 データ収集は、日々報告されるインシデントレポートのうち、研究対象部署からの報告に絞り、その中から、対象事例を選定した。選定された事例のうち、対象者に研究の同意がえられたものについて、ヒヤリングを実施し、適宜、現場調査を行った。対象事例のヒヤリングの調整には、困難を極め、予定した計画通りに実施できないこともあった。 収集した事例から、共通性と独自性を抽出し、エラー拡大阻止行動とエラー発生行動について検討した。その結果、ヒューマンエラーを導く環境要因の存在が確認された。環境要因として、職員への教育、物品の管理状況、患者の服薬に関する複雑な実態等が抽出された。これらの結果の一部は、医療の質・安全学会へ報告している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やや遅れている理由は、各研究実施施設による倫理審査委員会からの承認が、予定よりも時間を要したためである。また、日々、報告されるインシデントレポートについて、研究対象となる事例の選定及び対象事例の分析に必要なヒヤリングの調整が難航した。医療現場の状況も日々刻々と変化しており、対象事例の再現も難しさを極めた。研究メンバー同士の役割分担についても、より効果的に効率的にできるように再検討していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、対象者への配慮を第一にしながら、研究メンバーの中で、効果的に調査できるように調査工程を再検討する。そして、なるべく1事例でも多くの事例を収集し、分析結果から考えられる事例の共通性と独自性について明確にし、レジリエンス・エンジニアリングの考え方、実践方法等にいかせる文化醸成への方向性を見出していきたい。
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Causes of Carryover |
研究実施施設および研究対象者からのデータ収集および調整等が、やや遅れており、予定していたデータが収集できていない。研究実施施設を調整し、確実にデータ収集できるように、必要経費を効果的・効率的に適正に使用していきたい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究実施施設の再検討および、研究実施者の効率性を検討する。その上で、積極的にデータを収集していく。使用額の主な使途はデータ収集に必要な旅費やデータ収集時の謝金等の予定である。
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