2014 Fiscal Year Research-status Report
ほ乳類ゲノム編集を用いた細胞株、ノックアウトマウスの作製法開発
Project/Area Number |
26670397
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神吉 康晴 東京大学, アイソトープ総合センター, 助教 (00534869)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / 接着因子 / ゲノム編集 / miRNA / ヒストン修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は動脈硬化を引き起こすmiRNAの探索から、最新のゲノム編集技術を応用したゲノム改編細胞及びコンディショナルマウスの作成という、新しい技術の確立に挑むものである。申請者らはこれまでに、TNF (Tumor Necrosis Factor) -αを血管内皮細胞に作用させるとVCAM (Vascular Cell Adhesion Molecule) -1の発現が上昇し、動脈硬化につながる単球接着を惹起するメカニズムについて研究を積み重ねてきた。そこで、本研究では、動脈硬化に重要なmiRNA(microRNA)を同定し、Crispr-Cas9システムを用いてほ乳類細胞のゲノム改編を行うことを目的としている。 平成26年度は、まずは動脈硬化に繋がるmiRNAを同定するために、HUVECs(ヒト臍帯静脈内皮細胞)にTNF刺激を行った際のmiRNAアレイを行った。その結果、有意に発現が変動するmiRNA候補を抽出した。このうちの一つのmiRNAに関して、ノックダウン実験及び過剰発現実験により、VCAM1の発現を抑制し、単球接着も抑制することを見出した。 次に、このmiRNAの直接の標的を同定するためにRIP-array解析を行い、網羅的にmRNAを探索した結果、ヒストン修飾酵素を同定しつつある。 更に、このヒストン修飾酵素のノックアウトマウスをゲノム編集技術であるCRISPR/Cas9システムを用いて作製した。 これまでの研究成果により、ヒト血管内皮細胞ではその活性化の際に特定のmiRNAの発現が変動することで、接着因子の遺伝子座のヒストン修飾が変化し、その結果として動脈硬化初期病変を形成する単球接着に影響を与える結果が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、平成26年度はまず、動脈硬化病変形成に寄与するmiRNAを同定することであった。「研究実績の概要」で記載したように、既にmiRNAを同定しており、更にその標的となる遺伝子も同定している。 本申請の最も重要な点は、このmiRNAによる転写制御機構解析をするにあたり、ゲノム編集技術CRISPR/Cas9システムを応用した新たな系を確立することである。これに関しては、平成26年度半ばより、見出したmiRNAの標的候補であるヒストン修飾酵素のコンディショナルノックアウトマウス作成を計画した。まずはトータルノックアウトマウスをCRISPR/Cas9システムを用いて作成することには成功している。 コンディショナルノックアウトマウス作成は現段階ではまだ達成されていないが、トータルノックアウトマウスの作成は終了しており、全体としては計画は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で達成された項目は、(1)動脈硬化初期病変形成に関与するmiRNAを同定した。(2)CRISPR/Cas9システムを用いてノックアウトマウスを作製した。この2点である。最終年度である平成27年度は、まずは作製したノックアウトマウスの表現形解析を行い、野生型と比較して動脈硬化に影響があるかどうかを検討する。 また、miRNAによる接着因子の転写制御機構解析から新たな抗動脈硬化創薬の新規標的を探索することも本研究の目的であるため、その機構解析を行う。既にAGO2抗体を用いたRIP解析で標的候補となるmRNAは複数同定できている。この中から、接着因子VCAM1,ICAM1、E-selectinの発現に影響を与えるエピジェネティクス因子の絞り込みを現在行っている。同定したエピジェネティクス因子のノックダウン、強制発現実験を行うことで、動脈硬化初期病変形成のメカニズム解明を目指す。
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[Journal Article] Cross-enhancement of ANGPTL4 transcription by HIF1 alpha and PPAR beta/delta is the result of the conformational proximity of two response elements.2014
Author(s)
Inoue T, Kohro T, Tanaka T, Kanki Y, Li G, Poh HM, Mimura I, Kobayashi M, Taguchi A, Maejima T, Suehiro J, Sugiyama A, Kaneki K, Aruga H, Dong S, Stevens JF, Yamamoto S, Tsutsumi S, Fujita T, Ruan X, Aburatani H, Nangaku M, Ruan Y, Kodama T, Wada Y.
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Journal Title
Genome Biology
Volume: 15
Pages: R63
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] GENETIC AND EPIGENETIC LANDSCAPE OF ENDOTHELIAL CELLS DIFFERENTITATION REVEAL THE TRANSCRIPTIONAL FACTORS NETWORK2014
Author(s)
Kanki, Yasuharu, Matsunaga, Taichi, Ryo, Nakaki, Yamamizu, Kohei, Shimamura, Teppei, Miyano, Satoru, Aburatani, Hiroyuki, Kodama, Tatsuhiko, Wada, Youichiro, Yamashita, Jun, Minami, Takashi
Organizer
International Society For Stem Cell Research the 12th annual meeting
Place of Presentation
The Convention Center, Vancouver, Canada
Year and Date
2014-06-18 – 2014-06-21
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