2014 Fiscal Year Research-status Report
多発性硬化症における新規バイオマーカーLOTUSの開発と病態の解明
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26670444
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
鈴木 ゆめ 横浜市立大学, 附属病院, 教授 (70236024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 章景 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30378012)
岸田 日帯 横浜市立大学, 市民総合医療センター, 講師 (20405004)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多発性硬化症 / 再発寛解型 / 二次進行型 / LOTUS / 脳脊髄液 / 血液 |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性硬化症においては、優れたバイオマーカーの開発が重要な課題となっている。我々は本学で発見された神経回路形成分子LOTUS が神経機能だけではなく免疫反応にも関わる可能性に着目し、神経免疫疾患である多発性硬化症における脳脊髄液中のLOTUS 濃度を解析した。その結果、多発性硬化症の脳脊髄液ではLOTUS 濃度が著明に変動することを見い出した。そこで本研究では、臨床情報の解析と免疫反応に着目した実験によりLOTUS 濃度の変動と病態への関わりを明らかにし、LOTUS が病態を反映する新規バイオマーカーとして有用であることを明らかにすることとし、さらに、血液中に含まれる微量なLOTUS の検出・定量にチャレンジし、これまでにない鋭敏な血液バイオマーカーの開発を最大の目的として研究を続けてきた。 初年度、多発性硬化症患者および非多発性硬化症患者(変性疾患、正常コントロール)の合計200 症例を解析し、これらの症例における脳脊髄液中のLOTUS 濃度の著明な変動とその特徴を示し、臨床情報と併せて解析したところ、多発性硬化症の再発患者において、有意なLOTUS 濃度の低下が認められた。LOTUS の低下と病態との関わりに関して、多発性硬化症患者をさらに再発寛解型と二次進行型に分けて、神経機能障害との関係、および既存の検査との比較において検討した。 その結果、髄液中のLOTUSは再発寛解型MSの再発期において、寛解期より低下してしており、寛解期には正常コントロールと同レベルであった。また、二次進行型では、正常コントロール、および、再発寛解型の寛解期より有意に低下していることがわかった。変成疾患では有意な低下はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
多発性硬化症のバイオマーカー開発は遅れており再発・病勢診断において、血液・髄液ともに信頼性が 確立された検査はない。また病態を反映するバイオマーカーがないため、病勢の客観的な評価が難しく、治療法のエビデンス確立や新薬開発が遅れるなど、治療分野の発展を妨げる一因となっている。従って、病態に係る再発・病勢診断バイオマーカーの開発が極めて重要な課題となっている。 当初の計画ではMSの病勢と脳脊髄液中のLOTUSの変動を検討することとなっていたが、多発性硬化症を再発寛解型と二次進行型とに分けることにより、髄液中のLOTUSが再発寛解型MSの再発期において、寛解期より低下し、寛解期には正常コントロールと同レベル、また、二次進行型では、正常コントロール、および、再発寛解型の寛解期より有意に低下していることがわかり、明らかに病勢を反映するばかりか、MSのタイプによっても異なる動向をとることがわかった。 また、一方、血液中のLOTUSを測定することが最大の目的であるが、これにも初年度の着手を見ている。
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Strategy for Future Research Activity |
LOTUS の免疫反応への影響をin vivo,in vitro両面から解析し多発性硬化症の病態に迫る。これらと並行して、プロテオミクスを応用し血液中のLOTUS 濃度測定手法の開発に挑戦し、本研究の大きな目標である鋭敏な血液バイマーカーとしての開発を目指す。 またさらには、血液中のLOTUS濃度と、脳脊髄液中のLOTUSの比較検討、および、血液中のLOTUS濃度とMSの病勢との詳細な検討も行う予定である。
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Causes of Carryover |
本研究の最大の目的は、血液中のLOTUS 濃度測定手法の開発に挑戦し、鋭敏な血液バイオマーカーとしての開発を目指すことである。この点に着手できたのは初年度として、最大の収穫であった。 一方、微量なLOTUSを血液中から検出し、その変動が多発性硬化症の病勢を反映することが確実になれば、診断のみならず疾患概念・診療方針においても大きな革新をもたらす。このように、病態を反映する新規バイオマーカーの開発は治療効果の客観的評価を可能にし、病態生理への理解を深めることで、治療に対するエビデンスの確立や新薬の開発を加速させ、世界的に患者数の多い神経難病である多発性硬化症の研究・臨床を飛躍的に前進させることが強く期待される。それだけに十分な検討を要し、その部分については次年度分として請求した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上述の通り、本研究は病態を反映する新規バイオマーカーの開発によって治療効果の客観的評価を可能にし、治療に対するエビデンスの確立や新薬の開発を加速させ、さらに、今までに類をみない新規バイオマーカーであるため、新たな検査薬として世界中で使用される可能性が高く、本邦発の新たなバイオ産業の創出へとつながることが期待される。 バイオマーカーとして確立するためには絶対濃度の測定が重要である。そこで濃度既知のリコンビナントタンパクを用いたウェスタンブロット法による濃度測定法を確立する 一方、特異性の高いモノクローナル抗体を開発しELISA による濃度測定法の確立を目指す。抗体の開発は定法に従い既に準備したリコンビナントタンパクを抗原として作成するが、極めて特異性の高い抗体が必要であるため、 プロテオーム解析と質量分析を用いたLOTUS 特異的配列に対する抗体作成を計画している。
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Research Products
(1 results)