2014 Fiscal Year Research-status Report
エピジェネティック制御による選択的サイトカイン発現調節機構の解明とその治療応用
Project/Area Number |
26670476
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
臼井 崇 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (90362483)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヘルパーT細胞 / IL-17 / エピゲノム制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
IL-17産生ヘルパーT細胞(以下Th17細胞と略)は、膠原病を含む多くの炎症性疾患に深く関与する新規の炎症惹起性ヘルパーT細胞として発見以来注目を集めてきた。しかし他のヘルパーT細胞と異なり、その分化機序の必要十分条件および可塑性の本質は不明のままである。本研究の目的は、そのTh17細胞の分化およびIL-17産生制御機構をエピゲノム・転写因子レベルで網羅的に解析することで、それらの謎を解読することである。 我々は偶然に,あるマウスT細胞株クローンが多量のIL-17を産生していることを発見し,同じT細胞株の非IL-17産生クローンと網羅的に比較検討することで,何がその表現形に必須の因子であるのかを解析している。これまでの解析でゲノム配列や,プロモーター機能,ヒストン修飾には差異を認めなかったが,プロモーター領域のGCアイランドのメチル化が両細胞株間で大きく異なることを見いだし,さらにその現象に直接関わっている可能性のある因子として遺伝子Xを同定し,現在その直接の因果関係を解析中である。遺伝子Xを強制発現させることでIL-17産生クローンを非産生クローンに転換できることまで確認している。現在遺伝子Xのノックダウン解析・正常マウスT細胞およびヒトT細胞を用いた同現象確認実験,および遺伝子Xがいかにしてプロモーター領域のGCアイランドのメチル化に関与しているのかについて,核酸-蛋白相互作用の解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクト全体の達成度は現時点で70%前後である。 原因遺伝子の特定まで解析が進んでおり,今後この遺伝子によるIL-17産生制御機構の解析が主題となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
1) 遺伝子Xのノックダウン解析 i 細胞株においてはアンチセンスもしくはShRNAベクターを用いて安定細胞株を得,エピゲノム解析に供する。 ii 正常マウスT細胞およびヒトT細胞における遺伝子X強制発現およびノックダウン 我々がすでに技術を有するレトロウイルスベクターを用いて解析する。ノックダウンはsiRNA法を用いる。 2) 遺伝子Xのクロマチン免疫沈降法およびゲルシフトアッセイ解析 遺伝子XがいかにIL-17プロモーター領域のGCアイランドをメチル化しているのか,その機序は不明のままである。まず遺伝子Xが直接DNAに結合し得るのか解析する必要があるが,我々はIL-17産生・非産生マウスT細胞株を有しているため,高精度にその解析を行うことができる。まずクロマチン免疫沈降法,およびゲルシフトアッセイ法にて解析するが,直接結合でない場合他の介在因子を同定する必要があり,解析が困難になる可能性があるが,我々は細胞クローンとして同じ細胞株由来のIL-17産生および非産生細胞クローンを所有しており,そのような事態になってもエピゲノム解析が可能であると考えている。
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Research Products
(2 results)