2014 Fiscal Year Research-status Report
大腸前癌細胞において共役する異なる染色体由来の分子を標的とした治療法の確立
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26670608
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三森 功士 九州大学, 大学病院, 教授 (50322748)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | TPX2 / EEM法 / MLN8237 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は進行大腸癌150例のaCGH解析の結果『ゲノムコピー数変異が有意に相関する染色体は異なるがペアとなる領域(遺伝子)』を発見した。特に癌遺伝子MYCの局在する染色体8q24は20q11と極めてよく相関しており、20q11局在の遺伝子TPX2抑制はMYCドリヴン癌において高い抗腫瘍効果を示した。本年度の目標は、MYC/TPX2を標的にした治療法をさらに確かなものにするために、エビデンスとなるデータを固めていくことをひとつの目標に掲げ、特にin vitroアッセイを実施し成果をえた。
発現アレイ:日本人大腸癌臨床サンプル86例において、遺伝子発現マイクロアレイを行い、extraction of expression module (EEM)法 (Niida A et al. 2008 BMC Bioinformatics)によりMYC発現、MYC pathway活性度、TPX2発現の相関を解析した。大腸癌においてMYC発現量は、必ずしもMYC pathwayの活性度と一致しなかったが、TPX2高発現症例においては、MYC発現量とMYC活性度に強い相関がみられた。これらの結果より大腸癌においては、MYC活性はTPX2発現に依存していると考えられた。
in vitro アッセイ:大腸癌株化細胞にMYC強制発現をしたところ、TPX2も合わせて強発現をしたことから、MYCとTPX2は正常細胞にはない相互作用により癌の進展に関与していると考えられた。MYC高発現細胞株と低発現細胞株においてTPX2ノックダウンアッセイを行い、その細胞増殖、浸潤能が有意に減弱することを明らかにし、MYC過剰発現株にAurora Kinase A特異的阻害剤(MLN8237)を投与することにより増殖能抑制とアポトーシス誘導が起こることを確認した。大腸癌臨床検体でTPX2発現のみが予後と相関することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間内に何をどこまで明らかにしようとするのか?に準じて記載をする。 1) 生検組織判定基準(大腸癌取扱い規約)において腫瘍性で中等度から高度異型病変 (group 3, 4)より、シングルセル群およびスフェロイド細胞塊を作成。癌幹細胞マーカー(Lgr5/CD133)発現蛍光強度のレベルに応じて5段階、スフェロイド細胞塊のサイズで5段階に分けて、全段階と以下との関係を統合的に明らかにする。(1) SNP arrayで「異なる染色体間でゲノムコピー数が相関する遺伝子ペア」進捗; 現在は157例のaCGHの結果得られた両者の関係について、SNP arrayで検証を行っているところである。パイプラインの構築中。(2) エキソームおよびRNA Seqにて、上記ペア遺伝子関連シグナル上に共起する変異遺伝子あるいは発現遺伝子プロファイル。進捗; 未着手。 2) 同定したペア遺伝子について、それぞれKD細胞株を作成。スフェア形成能、抗癌剤耐性能の有無を明らかにして大腸発癌における役割を示す。進捗;上述のごとくMYC/TPXに関するin vitroの実験から行い、成功をおさめている。 3) SNP array、エキソームおよびRNA Seqの結果より樹系図を描き“大腸発癌過程”をシミュレートする。 進捗;大腸癌原発巣の発癌から癌進展過程にいたるまでに多様性を発揮しながら進化するモデルについてシミュレーションを実施した。その結果、進化には中立変異が重要で強力なドライバー遺伝子は必要ない。また幹細胞性は階層をかたちづくる上でその存在が重要である。さらに環境要因が外圧として多様性を形成していく上で必要であることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
【1】aCGHで構築した異なる染色体データベース:現在は157例のaCGHの結果得られた両者の関係について、SNP arrayで検証を進める。両者で再現性がとれた染色体領域については、さらに多くの症例でのゲノムPCRで確認する。また、責任遺伝子あるいは転写産物について同定する。 【2】前癌病変(高度異型腺腫組織)にみる『異染色体間ゲノムコピー数相関領域』の意義 ■スフェロイド細胞塊:高度異型腺腫組織を細胞塊として培養。壊死部分を除去しミンス。酵素で分解した後メッシュで濾過。この時点で40μm~500μmの細胞塊となる。これを癌細胞初代スフェロイド調整キット(AGC旭硝子(株)製)で培養する。その結果、形成細胞塊のサイズで5段階に分ける。高度異型腺腫について、臨床診断のための部位を除き、すべての組織を採取する。 ■シングルセル細胞群:切除組織を可能な限り細かく切離。MACS; Tissue Dissociation Kits (組織分散キット)を用いて組織分散を行い単細胞懸濁液を得る。同細胞液をAs OneCell picking システム(Bio Lab)を用いて、Lgr5+/CD133+抗体を用いて、それぞれ100個の細胞群を分離同定し、癌幹細胞マーカー発現蛍光強度のレベルに応じて5群を選定する。 上記実験を実施の予定。しかし、シングルセルの培養等が、世界的にもまだ難しく、確立されていない状況である。本助成でいただく助成額ではこれを成し遂げることの実現性が乏しく、軌道修正を勘案中である。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] A long noncoding RNA, lncRNA-ATB, is involved in the progression and prognosis of colorectal cancer.2015
Author(s)
Iguchi T, Uchi R, Nambara, Saito T, Komatsu, Hirata H, Ueda M,Sakimura S,Takano Y, Kurashige J, Shinden Y, Eguchi H, Sugimachi K, Maehara Y, Mimori K.
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Journal Title
Anticancer Res.
Volume: 35
Pages: 1385-8.
Peer Reviewed
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[Journal Article] The AURKA/TPX2 axis drives colon tumorigenesis cooperatively with MYC.2015
Author(s)
Y. Takahashi, P. Sheridan, A. Niida, G. Sawada, R. Uchi, H. Mizuno, J. Kurashige, K. Sugimachi, S. Sasaki, Y. Shimada, K. Hase, M. Kusunoki, S. Kudo, M. Watanabe, K. Yamada, K. Sugihara, H. Yamamoto, A. Suzuki, Y. Doki, S. Miyano, M. Mori and K. Mimori
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Journal Title
Ann Oncol.
Volume: 26
Pages: 935-942
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Epigenetic modulation and repression of miR-200b by cancer-associated fibroblasts contribute to cancer invasion and peritoneal dissemination in gastric cancer.2015
Author(s)
Kurashige J, Mima K, Sawada G, Takahashi Y, Eguchi H, Sugimachi K, Mori M, Yanagihara K, Yashiro M, Hirakawa K, Baba H, Mimori K.
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Journal Title
Carcinogenesis.
Volume: 36
Pages: 133-41
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Significance of polypyrimidine tract binding protein 1 expression in colorectal cancer.2015
Author(s)
Takahashi H, Nishimura J, Kagawa Y, Kano Y, Takahashi Y, Wu X, Hiraki M, Hamabe A, Konno M, Haraguchi N, Takemasa I, Mizushima T, Ishii M, Mimori K, Ishii H, Doki Y, Mori M, Yamamoto H.
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Journal Title
Mol Cancer Ther
Volume: epub
Pages: epub
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Prognostic significance of high mobility group box 1 (HMGB1) expression in patients with colorectal cancer.2014
Author(s)
Ueda M, Takahashi Y, Shinden Y, Sakimura S, Hirata H, Uchi R, Takano Y, Kurashige J, Iguchi T, Eguchi H, Sugimachi K, Yamamoto H, Doki Y, Mori M, Mimori K.
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Journal Title
Anticancer Res.
Volume: 34
Pages: 5357-62.
Peer Reviewed
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