2015 Fiscal Year Research-status Report
超高解像度血流解析による脳動脈瘤発生の危険因子の同定
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26670647
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
下權谷 祐児 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (30552575)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳動脈瘤 / 血流 / 血行力学 / 計算流体力学 / wall shear stress |
Outline of Annual Research Achievements |
中大脳動脈瘤実症例のCT画像に基づいて血管モデルを構築したのち,瘤を人為的に取り除くことによって瘤発生前の形状を近似的に再現した。これを複数の症例に対して行い,実験群として設定した。一方,同症例の対側の正常部位の血管モデルも併せて構築することで,実験群と対応のある対照群を設定した。瘤発生側と非発生側の同部位間でwall shear stressなどの血行力学量を比較した。その結果,wall shear stressベクトルの時間的変動,特に主流方向と直交する方向も含む多方向の時間的変動によって特徴付けられる血行力学量が,瘤発生側で有意に高値であった。この有意差は,血流解析の流速境界条件として患者本人の流速実測値を用いた場合にのみ得られ,文献から得られる健常成人の平均値を流速境界条件として用いた場合には有意差を認めなかった。また,これまでに提案されている他の血行力学量についても同様に瘤発生側と非発生側の同部位間で比較を行ったが,いずれも,瘤発生側で有意に高値とはならなかった。以上より,多方向の時間的変動によって特徴付けられるwall shear stressの乱れが,脳動脈瘤の発生に関与している可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画にしたがい,瘤発生側と非発生側の同部位間で血行力学量の比較を行うことができた。加えて,瘤発生側で有意に高値となるような血行力学量を見出すことに成功した。さらには,この有意差が,血流解析の流速境界条件として患者本人の流速実測値を用いた場合にのみ認められるなど,重要な結果が得られてきていることから,研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
解析症例数を増やし,これまでに提案されている血行力学量の中で未検討のものも含め,瘤発生側と非発生側の同部位間で再度比較を行う。得られた結果を論文としてまとめるとともに,国際・国内学会で研究成果を発表する。
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Research Products
(4 results)