2014 Fiscal Year Research-status Report
c-Mycの異常発現によるエピジェネティクス変化が染色体転座に与える影響
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26670668
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
糸永 一朗 大分大学, 医学部, 講師 (10295181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田仲 和宏 大分大学, 医学部, 講師 (10274458)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | cmyc |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の施設ではこれまでに様々な種類の肉腫細胞株、血液系腫瘍細胞株、さらに癌腫細胞株を用いてmessenger RNA (mRNA)遺伝子発現を全ゲノムcDNA array法にて網羅的に解析した。その結果、転座を有する細胞株では共通してc-myc発現の異常高値を認めた が、これは多段階に遺伝子変異が蓄積し発がんする癌腫とは大きく異なるものであった。ヒストン脱メチル化や脱アセチル化の阻害はDNA二本鎖切断double strand breaks (DSB)の頻度を増加させ、さらにはDBS修復をも阻害する、という結果も報告されている。これらの観察結果から、エピジェネティクス変化が染色体不安定性に関与していることが強く示唆されている。 線維芽細胞にレンチウイルスベクターを用いてc-Mycを強制発現させた。ChIP-sequence法にて1)53BP1のタンパク発現をWestern blotにて比較・検討したが現在のところc-Myc導入の有無による明らかな差は認めていない。現在は、染色体不安定性の有無に関して、DNA ploidy法およびarray CGH法にてゲノム分画とDNAコピー数の異常を検出しようと試みている段階である。並行して我々はmicroRNAおよびcDNA arrayのdataを用いてmicroRNAの異常が-c-Mycおよび染色体不安定性に関与していないか、検討をおこなっている。また我々の予想ではhomologous recombination, non-homologous end joiningのどちらのDSB修復系がより機能不全に陥っていると考えており、c-myc導入線維芽細胞におけるI-ScelによるHR活性測定法、およびNHEJ assay であるrandom plasmid integration法により判別している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のようにc-Mycを強制発現とその状態でのChIP-sequenceを行いながら、microRNA, cDNA array によるデータの解析・検証も実施してきた。特にc-MycのmRNAが高発現であることに上流の因子であるmicroRNAの発現異常が関与している可能性もあると考えた。現在のところlet-7a, miR-16, miR-29b, miR-1294, miR-2682が関与している可能性が高い。とくにmiR-1294, miR-2682はc-Mycの上流に位置しておりこれが低発現であるためにc-Mycの発現が高いと予想した。この2因子をtransfectionするとc-MycのmRNAとタンパク発現は抑制され、さらに細胞周期の進行が抑制されることは証明できた。
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Strategy for Future Research Activity |
計画書に記載した通り、まずはChIP-sequenceで再現性のあるdataを得ることを前提とし、以下の実験を行う。 1)c-myc導入線維芽細胞においてSET8/PR-Set、SUV-20H1/2発現レベルが変化しているか否かをWestern blot法にて確認すると同時に、ChIP-sequence法でH4K20のメチル化レベルが変化しモノメチル化の割合が上昇しているかを検討する。2)c-myc導入線維芽細胞におけるMDC1とそのパートナーであるRNF8が複合体、histone methyltransferaseであるMMSETの発現変化についてもWestern blotにて示す。3)c-myc導入線維芽細胞とコントロール細胞間でSIRT1, SIRT6のタンパク発現をWestern blot法にて定量する。4)c-myc導入後、線維芽細胞のHDAC1,HDAC2の発現が変化するかどうか、抗HDAC1およびHDAC2抗体を使用しWestern blotによって確認する。
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Causes of Carryover |
予定していた実験方針を一部変更した。具体的には実験器具が購入できなかったため消耗品を購入した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き実験消耗品を中心に購入する。当施設での共通機器を使用することで計画に変更はない。
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Research Products
(4 results)