2014 Fiscal Year Research-status Report
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26670673
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中村 貴 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80431948)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ガスメディエーター / 骨・軟骨代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
硫化水素はミトコンドリア呼吸鎖のシトクロムcオキシダーゼを阻害する猛毒のガスとして有名であるが、最近では生体内において産生される重要なガス状の情報伝達物質としての機能が発見され、その生理活性と作用メカニズムに対する関心が高まりつつある。しかしながら試験管レベルの研究が中心であり、個体レベルにおける硫化水素の明確な生理機能の報告は極めて少ない。一方、硫化水素産生酵素であるシスタチオニンβ合成酵素(CBS)の遺伝子ノックアウトマウスでは内軟骨性骨化遅延を示唆するデータが報告されている。しかしながら全身性CBS遺伝子ノックアウトマウスは生後間もなく致死となるうえ、肝機能低下によるホモシスチン尿症を呈するため、観察される表現型が血中ホモシスチンの増加と硫化水素産生低下のどちらに依るものなのか、更には、骨組織異常がどのような細胞機能障害によって引き起こされているのか詳細な解明が困難である。この点を克服するため、本研究ではCre/loxPシステムを用いる事で、骨細胞種特異的な遺伝子破壊を行い、全身性遺伝子欠損によるホモシスチン蓄積を回避することで、骨組織局所における硫化水素産生部位の特定と、骨芽細胞に対する硫化水素作用メカニズムの解明を目指している。現在、floxed CBSマウスの樹立を目指しているが、ES細胞における非特異的な組換えが多く見られた為、ベクターの再構築を行い、ES細胞への遺伝子導入を行なった結果、新たに候補クローンの取得に成功した。今後、騒動組換え体クローンである事を確認し、キメラマウスの作出を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
始めに作製した標的ベクターでは相同組換え体クローンの取得が困難であると判断し、速やかにベクター再構築を行なった為、順調に候補クローンの取得に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、floxed CBSマウスの樹立を行い、細胞種特異的Cbs遺伝子欠損マウスを作出することで骨代謝制御機構を明らかにしていく。 未使用額の発生は、効率的な物品調達を行なった結果であり、翌年の消耗品等の購入に充てる予定である。
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Causes of Carryover |
未使用額の発生は、効率的な物品調達を行なった結果であり、翌年の消耗品等の購入に充てる予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度の未使用額と合わせて、マウス作出のためのES細胞培養試薬、血清の他、マウス飼育維持費・動物関連の消耗品費のほか、遺伝 子発現解析試薬、抗体、プラスチック消耗品費などに使用する予定である。
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