2014 Fiscal Year Research-status Report
メタボ時代の夜間頻尿対策:膀胱C線維遮断は夜間多尿を改善する?
Project/Area Number |
26670698
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
岡田 昌裕 福井大学, 医学部附属病院, 医員 (40572441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 修 福井大学, 医学部, 教授 (90242552)
青木 芳隆 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (30273006)
横井 聡始 福井大学, 医学部, 助教 (90722546)
関 雅也 福井大学, 医学部附属病院, 医員 (70572444)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 夜間頻尿 / 多尿 / 尿産生リズム / 腎交感神経 / 心不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれは、これまでに短時間作用型抗コリン薬が夜間多尿を改善することを報告してきた。尿量減少は短時間作用型抗コリン薬だけの効果なのか。患者の服薬コンプライアンスを高めるため今日の薬剤は長時間作用型が主流であるが、短時間作用型のメリットがここにあるのかもしれない。臨床的に長時間作用型抗コリン薬(オキシブチニンテープ)と短時間作用型抗コリン薬(プロピベリン)の夜間頻尿に及ぼす影響を臨床治験のデータを基にサブ解析した。また、抗コリン薬は血漿中濃度が高濃度になるとアドレナリン受容体拮抗作用が出現することが報告されている(World J Urol 29:149, 2011 )。したがってアドレナリン受容体拮抗作用を有するnaftopidilを用いて、腹腔内に生食を注入した利尿ラットに抗利尿効果が発揮されるか検討した。また、抗利尿効果が脊髄上行性経路を介するのかについても検討した。 1)長時間作用型抗コリン薬(オキシブチニンテープ)は1回排尿量を有意に増加させたが、抗利尿効果はみられなかった。一方、短時間作用型抗コリン薬(プロピベリン)を高血圧患者に投与する1回排尿量を有意に増加しなかったが、抗利尿効果がみられた。非高血圧患者においては有意でなかった。 2)αブロッカーのnaftopidilは膀胱あるいは尿道の知覚C線維尿量を減少させることが解明された。 3)抗コリン薬の抗利尿効果が脊髄上行性経路を介しているか、脊髄損傷ラットを用いて尿量減少効果の評価を行った。腹腔内に生理食塩水を15ml注入して利尿期を観察したが、正常ラットのような利尿が観察されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長時間作用型抗コリン薬では抗利尿効果が発揮されないこと、短時間作用型抗コリン薬には抗利尿作用があることが臨床的に解明された。したがって、当初計画していた「薬剤一時投与と持続投与の尿量産生に対する効果の差の解析」は施行する必要がないと判断された。 「尿量調節に腎交感神経は関与するのか」については、臨床データのサブ解析により高血圧患者にのみ抗利尿効果がみられたことより、腎交感神経の関与が示唆された。動物モデルでの検討が待たれる。 難治性高血圧には腎交感神経の活動亢進が関与している。αブロッカーのnaftopidilが尿量減少をもたらしたことより、腎交感神経活動の亢進が傍糸球体装置のアドレナリン受容体を介してレニン分泌を促進する可能性が示唆された。 以上より、研究課題はほぼ順調に進展していると判断された。
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Strategy for Future Research Activity |
1)交感神経の緊張状態である高血圧には夜間多尿が存在する。これを動物モデルで再現するために、食塩感受性高血圧ラットを高食塩食で飼育し、非活動時に尿量増加があるか否かを検討する。 2)高血圧ラットになぜ、尿量増加が存在するのか、膀胱の知覚C線維が関与している可能性が示唆されたが、本年度は膀胱C線維を特異的に刺激して、尿量増加が再現できるか動物モデルを用いて検討する。そのためには膀胱瘻を作成したラット膀胱をカプサイシンで刺激し、尿量の経時的変化を観察する。 3)尿量調節に腎交感神経は関与するのか 難治性高血圧には腎交感神経の活動亢進が関与している。腎交感神経活動の亢進が傍糸球体装置のβ1 アドレナリン受容体を介してレニン分泌を促進すると考えられているがここに交感神経を介した尿量調節機構がどのように関与しているのか。腎動脈交感神経アブレーションを行って、交感神経焼灼すると抗コリン薬やα1 受容体遮断薬の尿量減少効果がどのように修飾されるのか検討する。
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Research Products
(5 results)