2014 Fiscal Year Research-status Report
レックリングハウゼン病に着目したscarless wound healing
Project/Area Number |
26670771
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久保 盾貴 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00362707)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 神経線維腫症I型 / 線維芽細胞 / 筋線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
レックリングハウゼン病(以下NF-1)患者より採取した線維芽細胞は、培養したところ、正常線維芽細胞と同等の細胞増殖能を有し、形態の相違も見られなかった。そこで、NF-1由来線維芽細胞は、正常線維芽細胞との比較実験に使用可能と判断し、次の段階に進んだ。 正常線維芽細胞はTGF-β刺激に反応し、筋線維芽細胞へと分化する。そこで、NF-1由来線維芽細胞にもTGF-β刺激を与え、その分化能を観察した。しかしながら、NF-1由来線維芽細胞は、TGF-βに正常線維芽細胞同様に反応して筋線維芽細胞へ分化した。これは、筋線維芽細胞のマーカーであるα-SMAの免疫染色、ウエスタンブロッティングで確認した。次にNF-1由来線維芽細胞もまた、TGF-β刺激によりRhoAの活性化が見られるかを検討した。その結果は、正常およびNF-1ともに線維芽細胞はTGF-βによりRhoAを活性化させた。上記から、現時点では、NF-1患者の瘢痕がきれいになる理由は、TGF-β-RhoAシグナルを介した皮膚線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化能が低下しているせいではない、と我々は考察している。 次に、培養細胞伸展装置を用い、まず正常線維芽細胞に伸展刺激を加え、伸展刺激の後に、筋線維芽細胞への分化が促進されているかを検討した。すると、正常線維芽細胞は経時的に、伸展刺激によりα-SMAを上昇させていた。すなわ正常線維芽細胞では、伸展刺激により筋線維芽細胞への分化が促進していたわけである。次にNF-1由来線維芽細胞を用いて、同じ条件で伸展刺激を加えたが、NF-1由来線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化は、正常線維芽細胞と異なり、若干促進されるに過ぎなかった。すなわち、NF-1患者の瘢痕がきれいになるのは、皮膚伸展刺激へ反応性の違いにある可能性があると考えらえた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
TGF-β刺激による線維芽細胞の分化の実験系では、NF-1由来線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化は、予想と異なり正常線維芽細胞と違いがほとんどなかった。実験の根幹を成す部分であるので、その結果の再現性を確認するための実験を繰り返し行う必要があり、そこに非常に多くの時間を費やした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、TGF-β刺激による分化誘導の系ではなく、伸展刺激による分化誘導の系で実験を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
進行が予定より遅れた分、本来行う実験を遂行できず、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に計画の遅れを取り戻す予定であり、26年度分の残額と当初予定していた27年度分を合わせて使用する予定である。
|