2014 Fiscal Year Research-status Report
デコイ受容体のnon-canonicalな作用経路の存在の立証とその意義
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26670808
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
滝川 正春 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20112063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 聡 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90221936)
青山 絵理子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10432650)
西田 崇 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30322233)
服部 高子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00228488)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | CCN / デコイ受容体 / OPG / RANK / 破骨細胞 / PDGFRL / 軟骨細胞 / 細胞増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)デコイ受容体OPGのCCN2を介する破骨細胞形成阻害作用 ①RANKとCCN2との結合を、固相化タンパク結合実験および表面プラズモン共鳴法(Surface Plasmon Resonance:SPR)で調べたところ、高い親和性(95.1nM)で結合した。なお、CCN2は、RANKとRANKLの結合には影響を及ぼさなかった。②破骨細胞前駆細胞であるRAW264.7細胞を用い、CCN2のRANKLシグナルにおよぼす作用を検討したところ,CCN2はNF-kappaBの核移行を促進し、ERK、JNK、p-38のリン酸化も増強した。③また、CCN2は、RAW264.7細胞をRANKL刺激した時にみられるnfatc1、c-fosの発現上昇を増強した。④オステオプロテジェリン(OPG)はRANKのデコイレセプターであり、RANKと同様にRANKLとの結合性を有する。そこでRANKと結合することが明らかとなったCCN2がOPGに結合するか否か調べたところ、RANKよりやや高い親和性(24.5nM)で結合した。⑤OPGはRANKL刺激によるRAW264.7細胞の破骨細胞への分化を抑制するが、CCN2を培養系に添加することでOPGによる破骨細胞形成抑制作用が劇的に解除された。 (2)デコイ受容体様分子PDGFRLの軟骨細胞の増殖・分化に与える影響 ①PDGFRLが成長板軟骨細胞の増殖・分化過程で、増殖期~成熟前期に強く発現し、肥大化とともに消失した。② また、ヒト軟骨細胞様細胞株HCS-2/8にPDGFRL遺伝子を導入し過剰発現させるとその増殖が促進された。③プルダウンアッセイでPDGRFRLとCCN2とが結合することを確認した。 (3)CCN2とPDGFRLが結合したので、PDGFRL結合分子の探索のためCCN2以外のCCNタンパク質が血小板に存在するか調べたところCCN1, 3, 5が存在した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H26年度の研究計画の内、主となっていた(1)「デコイ受容体OPGのCCN2を介する破骨細胞形成阻害作用」については、研究実績の概要に記載した内容を国際誌Boneに投稿し、2015年に出版された。(2)ただ、「デコイ受容体様分子PDGFRLの軟骨細胞の増殖・分化に与える影響」については、PDGFRLとCCN2の結合をプルダウンアッセイで示したもののSPRでは未確認である。また、その分子間相互作用のPDGFRLの増殖促進効果に対する関与についても未確認である。(3)一方で、当初の予定にはなかったが、PDGFRL結合分子探索の一環として、CCN2に加えてCCNファミリータンパク質のうち、CCN1, 3, 5が血小板に存在することを明らかにした。よって、概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
デコイ受容体の2番目の例としてのPDGFRLについて以下の点を検討する。 ①まず、僅かではあるが前年度にやり残した実験を完遂する。②PDGFRLが軟骨細胞分化に与える影響を培養軟骨細胞を用いて検証する。第一にPDGFRLを同細胞に直接発現させてアグリカン、Ⅱ型およびⅩ型コラーゲン、MMP-13などのマーカー遺伝子の発現変動の有無を確認する。そして第二に、大腸菌を用いてリコンビナントタンパク質を作製し、それをHCS-2/8細胞に添加して効果をみる。③ 同様の実験をCCN2で刺激した軟骨細胞を用いて行う。④ CCN2の細胞内シグナリングに対するPDGFRLの影響を検討する。⑤CCN3は以前Novと呼ばれていたCCNファミリーの一員で成長軟骨細胞の分化には抑制的には働く。また、CCN2や他のいくつかの分子と結合することが知られている。そこで、PDGFRLの軟骨細胞の増殖・分化に対する作用にCCN3が関与している可能性があるので、その点物理的結合の面から結合実験やSPRで確かめると同時に、PDGFRLの軟骨細胞増殖・分化に対する作用へのCCN3/Novの関与の有無を検討する。⑥ デコイ受容体として知られている可溶性TNFalpha受容体や可溶性IL2受容体、その他構造上デコイ受容体と考えられる分子で機能不明の可溶性受容体分子の機能解析と作用機構の解析を行い、細胞外シグナル伝達経路に置けるリガンド、受容体、デコイ受容体に続く第4の因子の存在(本プロジェクトではCCNファミリーメンバーとの仮説を立てている)と重要性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
PDGFRLやCCNタンパク質およびそのフラグメントのそれぞれの機能を調べるためリコンビナントタンパク質の調製を外注する予定をしていたが、費用節減のため、まずは、過剰発現法にてその作用について予備的知見を得てそれから外注する戦略をとった。そのため時間がかかり、H26年度末までに発注できなかったため。また、学会発表は活発に行ったが旅費は別経費でかなり充当できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
リコビナントタンパク質調製の外注、人件費、旅費に当初より多めの支出が見込まれ、それらに充当する。
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