2014 Fiscal Year Research-status Report
CD82によるWnt経路・細胞外基質の制御機構解明と癌転移抑制薬の開発
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26670858
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
椎葉 正史 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20301096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小河原 克訓 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (20372360)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Aly/REF / 口腔扁平上皮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
mRNAの核外輸送因子であるALYは、肺癌・大腸癌などで発現亢進が報告されているが、口腔扁平上皮癌(OSCC)との関連性は明らかになっていない。そこで本研究はOSCCにおけるALYの発現解析および機能を、Aly-RRP1B( ribosomal RNA processing 1 homolog B)-CD82-Wnt-target genes/ECM経路に注目して明らかにすることを目的とする。結果は以下の通り。1)50例のOSCC臨床検体を用いて、ALYのmRNAとタンパクの発現状態を調べ、ALY発現状態と臨床指標との相関関係を評価したところ、正常口腔粘膜上皮と比較してOSCC臨床検体においてALYの発現は有意に亢進しており、ALYの発現が高い症例ほど所属リンパ節転移を有為に多く認めた。2)OSCC由来細胞株においてmRNAおよびタンパクの発現状態を確認し発現亢進していることを確認した。3)ALY発現減弱株(shALY株)とcontrol株(Mock株)を作製し、Aly-RRP1B-CD82-Wnt-target genes/ECM経路を評価したところshALY株ではMock株と比較してRRP1BおよびCD82タンパクの発現上昇していた。4)shALY株とMock株を用いて、migration assayとinvasion assayを行ったところshALY株ではMock株と比較して、遊走能、細胞浸潤能が低下していた。5)shALY株とMock株を用いて、βカテニンの発現および核内移行の動態を確認したところ、shALY株ではMock株と比較してβカテニンの核内への移行が抑制されることが明らかになった。6)文献と遺伝子パスウェイソフト(IPA)により候補となり得るALY遺伝子の阻害薬を検索・同定した。migration assayを行ったところ候補薬を作用させた細胞では、遊走能が低下する傾向を示した。既に、shALY細胞株とMock株をそれぞれヌードマウスに移植し、マウス各臓器への癌転移の有無を解析したので、今後、この系を用いて、検索・同定したALYに作用する薬剤を用いて、ヌードマウスへの移植癌に対する転移抑制能を評価し、転移抑制剤の開発シーズにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた研究計画には十分到達することができた。 ALY形質転換細胞株とコントロール株を作製し、遊走能、細胞浸潤能を評価し、βカテニンの発現および核内移行の動態を確認した。またALY遺伝子の阻害薬を検索・同定した。 これまでの研究成果は、次年度以降の研究計画に大きく寄与できる内容であり、本年度の実績としては順調に進展している
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Strategy for Future Research Activity |
ヌードマウスに移植したshALY株およびMockにおける、マウス各臓器への癌転移の有無を病理学的かつ遺伝子学的に明らかにし、ALY遺伝子の発現状態と癌転移との相関関係の有無を検討する。また、転移抑制剤の開発シーズとして、ALYに作用する薬剤を文献と遺伝子パスウェイ解析ソフト(IPA)を用いて検索、同定した候補薬を用いて遊走能試験、浸潤能試験を行い、ヌードマウスへの移植癌に対する候補薬剤の転移抑制能を確認する予定としている。
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