2015 Fiscal Year Research-status Report
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26670949
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Research Institution | Kyushu University of Nursing and Social Welfare |
Principal Investigator |
中川 武子 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 講師 (20389547)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 遺体 / 遺族 / 災害 / インタビュー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、行政機関の活動報告書等から遺体が遺族にどのように引き渡されたのか現状を把握する、遺族および関係者へのインタビューを行い、遺体が遺族に引き渡される際、遺族にどのような支援が必要か明らかにする、遺族の災害による死別・喪失の悲嘆を軽減するための遺族への支援を示唆する、の3点である。 平成27年度は、前年度に得られた災害時の遺体に関する研究論文の現状を確認するために行った文献調査の結果を基に、災害による遺体を引き渡された遺族へのインタビューを行った。対象者は東日本大震災で遺体安置所にて遺体を引き渡された遺族で、本人の許可が得られた方である。インタビューは半構造的面接法により行い、「当時の思い」どのような状態で遺体をひきとったか」「どのような支援をしてほしかったか「今後どのような支援を受けたいかなど」をたずねた。 さらに東日本大震災で遺体安置所で勤務した行政機関の職員を対象に、本人の許可を得てインタビューを行った。インタビューの内容は当時の思い」「当時の様子」「どのような状態・状況で遺体を遺族に引き渡したか」「遺族に支援した内容」などである。対象者の心理的負担を軽減するために、無理に話しを切り出さず、対象者の話に耳を傾け、指示する言葉かけはしなかった。インタビューの内容は、対象者の許可を得て、TCレコーダーに録音した。インタビュー内容を記述記録とするためにICレコーダーに録音した内容の逐語録を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度にインタビュー実施にむけ、九州看護福祉大学倫理委員会の倫理審査において承認は得られたが、調査に協力できる対象者の同意を得ることが困難であったため、調査実施が予定通りに進まなかった。しかし平成27年度は調査対象者の協力を得ることができ計画していたインタビュー調査を実施し、インタビュー内容を記述記録とするための作業も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の計画は、インタビューデータの分析と報告書作成と学会発表を計画している。
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Causes of Carryover |
平成27年度に実施した調査対象者の中には、謝金の受け取りを辞退した方が数名いた。また研究補助員に研究補助を依頼した時間が予定時間より少なかったため人件費が抑えられた。そのため計画していた人件費・謝金が予算額より下回る結果となった。さらに、調査実施前に調査協力者との事前打ち合わせを調査対象地域での実施を計画していたが、電話やメールで実施したため、打ち合わせにかかる旅費が抑えられた。 以上のようなことから当該年度の使用額が残る結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度はデータ分析及び報告書作成、学会発表を計画している。データの分析の精度を高めるためにスーパーバイザーによる指導が必要となる。そのため計画していた旅費や人件費に加え、学会発表や指導にかかる費用が増えることが見込まれ、繰越金を使用する計画である。
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