2014 Fiscal Year Research-status Report
「日本の現場発看護学」の構築を目指した事例研究方法の開発
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26671005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 則子 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90280924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻村 真由子 千葉大学, 看護学研究科, 講師 (30514252)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 現象学 / 看護学研究 / 実践知 / 研究方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は①看護実践の研究方法に関する文献検討、②他領域の研究者によるセミナーを行い、③看護実践者と研究者の合同的事例研究に着手した。 文献検討では解釈的現象学の手法に着眼し、Bennerの著作を中心に検討した。Bennerの研究経過紹介や理論評価を分担執筆として図書に掲載した。現象学的看護研究に関する図書の書評を研究系商業誌に掲載した。 文献検討に基づき現象学的研究・当事者研究に注目し、これらの領域の識者を招きセミナーを4回開催した。現象学を基盤とした研究および当事者研究の看護学研究への援用の可能性について討議した。 事例研究は、訪問看護事例3件、病棟看護事例3件について検討し経過中である。これ以外に、解釈的現象学の手法を学び病棟看護についての検討を実施して論文としてまとめた。更にグラウンデッド・セオリー法の手法を主に用いた訪問看護事例の研究一例を学会誌に掲載した。 今年度の活動より以下の知見を得た。①存在論に注目した解釈的現象学は看護師が持つ患者との関係のあり方に親和性が高くこの方法を看護師の患者理解に資する知見の蓄積に用いることの意義が推察される。②このような患者理解に基づく看護実践の理解のためにも、同様の方法が用いられる可能性が示唆されたが、その「入れ子」的構造に適した研究のあり方を工夫する必要がある。③事例を検討する過程で発生する気づき・解釈・概念化といった認識上の活動は看護実践者にカタルシスを与えるようであり当事者研究としての意義を併せ持つ。④このような気づき・解釈・概念化は実践者と研究者合同での検討過程で発生しており、また実践者が持ち込む事例には個別の直接的看護実践以外の要素(看護師間のダイナミクスに基づく集団的看護実践、医師とダイナミクスへの気づき等)があった。すなわち事例研究の意義については直接的看護実践の可視化・概念化のみに囚われない検討が必要と思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献検討およびそれに基づくセミナーの開催を順調に実施し、現場発看護学のあり方についての検討が進められている。事例研究の試みも、順調に数が集まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
現状を続けてゆく。事例については新年度も新たな参加を募る。また、事例検討の経過について録音内容を質的に分析し、解釈・概念化の発生過程について詳細に検討を加えてみたい。
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Research Products
(3 results)