2014 Fiscal Year Research-status Report
フットケアとふまねっと運動を併用した高齢精神障害者への転倒予防プログラムの検討
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26671007
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
関井 愛紀子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60436772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清野 由美子 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70737741)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フットケア / 転倒予防 / 高齢精神障害者 / ふまねっと運動 / 予防プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
欧米ではpodiatry(足治療学)という分野で足や履物に関する問題に対し、医師、セラピスト、看護師ら多職種によるメディカルフットケアが提供されている。本研究は、研究代表者(関井愛紀子)が日本のメディカルフットケア先駆者「宮川晴妃」が設立した「爪切り屋」メディカルフットケアJF協会主催の研修(3級~1級:48日間)を受講し、メディカルフットケアの知識・技術を修得、高齢精神障害者を対象にフットケアとふまねっと運動を併用した転倒予防につながるプログラムを検討することである。 平成26年度はメディカルフットケア3級(16日間)を受講し資格を取得した。内容は足浴・拭き取り・消毒・ゾンデの使い方(角質除去)・爪切り(ニッパーの持ち方・指の支え方、爪の切り方)・爪やすり(持ち方、かけ方)・ケアトリートメントの理論と実技・ケアトリートメントの後の拭き方である。研究者分担者(清野由美子)は、ふまねっと運動の研修に参加しふまねっと運動インストラクター3級を取得した。 メディカルフットケアやふまねっと運動という名称を用いて研究を行うために最低限の資格習得が行えた。次年度に向けて研究準備を整え、県内の単科精神病院で実施するために研究計画を検討し、研究対象者の条件と人数、比較検討するための測定項目を検討し次の様に決定した。対象者:①過去に転倒した経験がなく、足・爪の疾患に罹患していない者50名(1群)、②過去に転倒経験があり爪の疾患に罹患していない者方50名(2群)。実態調査の観察項目:足指と爪の観察とアセスメント、開眼片足立ち、立位時の傾き、履物、測定項目:Timed Up and Go の測定、その他に足・爪・歩行に関する主観を調査する。フットケアとふまねっと運動の介入方法および介入後の観察を行い比較検討することとして研究計画書を作成、平成27年4月倫理審査委員会に提出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
メディカルフットケア3級取得に時間を要したためである。「爪切り屋」メディカルフットケアJF協会主催の研修(講義・実技16日間)は、単に伸びた爪を切るための方法を学ぶものではなく、フィンランドのpodiatry(足治療学)を基礎としたもので、足指や爪の骨や神経、皮膚の構造・機能などの学習だけでなく、対象者に痛みを与えないという理念に基づき徹底した実技訓練を行う場であったことから、看護師として身につけた技術では追いつかない、自分の全身を道具として使い相手も自分も一番安楽な方法で施行することで、爪を傷つけたり痛みを与えたりしないといという理念の基、すべてに根拠を持って行っていた。そのため、足浴後の布タオル・紙タオルでの拭き方、指の間の拭き方、消毒綿の当て方、ゾンデの持ち方、角質の除去の方法、ニッパーの当て方・切り方、やすりの持ち方・かけ方等などすべての技術に専門家としての型があり、その型を自分の体で覚えるために時間を要した。本研究におけるメディカルフットケア3級の取得は最低限の条件であったことから、研修(東京)を終えない段階で研究計画立案ができない状況から非常に手間取ってしまった。 3級取得後は、本研究における対象者の条件、実態調査のため観察や測定する項目などを先行研究や関連する分野の研究を参考に検討し決定した。平成27年3月~4月にかけ研究計画書を作成し、平成27年4月本学の倫理審査員会に提出し結果を待っている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
倫理審査委員会の承認を得た後、単科精神病院の病院長に研究計画を説明し研究対象者の選定や実態調査、介入研究に対し施設の職員(研究協力者)を募り研究チームを形成する。研究協力者は、対象者の選出、主治医の許可、対象者への説明、実態調査、介入研究等の活動に参加する。予定する研究対象者は、①過去に転倒した経験がなく、現在、足・爪の疾患に罹患していない者50名(1群)②過去に転倒した経験があり、現在、足・爪の疾患に罹患していない者50名(2群)で計100名程度である。研究内容は、実態調査(1)観察とアセスメント(①足指と爪(10指)、②開眼片足立ち、③立位時の傾き、④足指力測定、⑤履物)(2)測定調査:①Timed Up and Go の測定、②体温、血圧、脈拍、立位時のふらつき、めまい、気分、(3)足・爪、歩行に対する対象者の主観を調査する。介入研究は、研究対象者に(1)ふまねっと運動を週1~2回程度、2~3か月間実施する。(2)フットケアを週1~2回程度、2~3か月間実施する。実態調査は平成27年 6月~平成27年12月、介入研究は平成27年12月~平成28年10月を計画している。介入後の調査として、(1)観察および測定として、介入後の1~2群の対象者に次の①~④を観察および測定し足・爪の状態を把握する。比較する項目は、①開眼片足立ち、②立位時の傾き、③足指力測定、④Timed Up and Go の測定であり、実施する際には、研究対象者の安全に留意し、実施前には体温、血圧、脈拍、立位時のふらつき、めまい、気分状態を観察し、値が著しく高い(低い)場合は調査を実施しないように留意する。分析方法は1群と2群でフットケア前後、ふまねっと運動前後における①開眼片足立ち、②立位時の傾き、③足指力測定、④Timed Up and Go の測定のよる値を比較し、統計手法を用いた分析を行う。
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Causes of Carryover |
平成26年度は研究分担者が着任した年度あり、急遽メンバーとして本研究に加わった。そのため、研究への準備不足から実際に研究に着手する準備が整っていなかった。研究経費として分担した経費から、ふまねっと運動の研修に参加した際の出張費・参加費のみ使用しただけであった。また、研究分担者はメディカルフットケアに関する準備不足があり、「爪切り屋」メディカルフットケアJF協会への参加が行えなかった。そのための出張費や必要物品の購入なども行えていない状況になった。 さらに、全体として研究が遅れていることから、研究協力者の選出が行われず研究施設での会議の開催や協力者への謝金の支払いもなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年4月に本研究の計画書を倫理審査委員会に提出している。承認された後は、単科精神病院の病院長から許可を得て、研究協力者を募り対象者の選出から実態調査、介入研究を進める計画である。その際、研究協力者への人件費、研究対象者への謝金(20万円程度)が必要となる。また、研究責任者は「爪切り屋」メディカルフットケアJF協会で2級取得を計画しておりそのための経費(28円万程度)が必要となる。さらに、実態調査のために物品として足指力計測器(15万円程度)の購入などを計画している。以上より、次年度は研究計画に基づいた経費(80万円)の使用を計画している。
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