2015 Fiscal Year Research-status Report
フットケアとふまねっと運動を併用した高齢精神障害者への転倒予防プログラムの検討
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26671007
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
関井 愛紀子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60436772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清野 由美子 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70737741)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フットケア / ふまねっと運動 / 高齢精神障害者 / 転倒予防 / 爪切り |
Outline of Annual Research Achievements |
目的は、日常生活行動が自立している65歳以上の高齢精神病患者に対し、転倒予防につなげるプログラムの検討を最終目的に掲げ、歩く力に関連した調査とフットケアを実施することで転倒予防介入のための基礎資料を検討することである。 方法は、現在入院している65歳以上の精神障害者の転倒の有無、疾患名、入院年月日、CP換算を調査、その後フットケア介入前に次の①~⑤を測定し、対象者を分類。(①Timed Up and Go(以下TUGと略す)、②足指力、③開眼片足立ち、④フットプリント、⑤足・爪の状態を写真撮影で記録)、その後介入を実施。転倒経験と軽い運動(今後転倒予防のプログラムとして作業療法士と実施するふまねっと運動)への参加可能性を考慮し対象者を4群に分類。A群:転倒有でフットケアのみ、B群:転倒未でフットケアのみ、C群:転倒未で軽い運動とフットケア、D群:転倒未で軽い運動と爪切りのみ。調査項目毎に4群間で比較検討した。 結果、対象者は30名(男性17名、女性13名)、転倒経験者7名(23.%)で男性6名女性1名であった。精神疾患は統合失調症が19名(63.3%)と最も多く、次に双極性感情障害6名(20%)であった。4群間で歩く力に差があったものは、CP換算のみでC群(転倒未経験で軽い運動を予定)とD群(転倒未経験で爪切りのみ)に差があった。(P<0.00)一方、転倒経験の有無で直接歩き力に関わるTUG、足指力、開眼片足立で差はなかった。歩く力に関わる足指間圧(足指力)の基準値が男性3kg女性2.5kg、開眼片足立ち(基準値15秒)TMG(11秒)であり、今回の対象者(A~D群)の平均値は全てにおいてこの基準値よりも低くなっていた。フットケア前の足指の観察から、拇指を中心とした肥厚爪12名(40%)が最も多く次に足底部や足側面の胼胝7名(23%)であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究責任者が「爪切り屋」メディカルフットケアJF協会でフットケアワーカーの資格(1級)取得までに1.5年を費やし、研究対象者に対してフットケア介入が可能になるまで研究を進められず、平成27年12月までは計画よりも遅れていた。しかし、その間、研究計画を作成し所属施設および対象となる施設での倫理審査を受け許可を得ることができた。 平成28年年1月にフットケアワーカの資格を修得した後、研究協力者を募り7名の参加を得て対象者の選定を行った、その結果、50名以上のリストがあり強制力を排除するために研究者が直接説明した事で辞退者が20名あった。3月に33名の対象者に対し介入前の測定を実施した際、測定不能および拒否が3名おり最終的に30名の対象者から介入前のデータを得た。爪切りおよびフットケアの介入は4月になって実施。ふまねって運動については、対象施設の作業療法士の協力を得る必要があり、研究全体の説明1回、ふまねっと運動の説明1回、ふまねっと運動の実施(デモンストレーション)1回を実施した。今後、作業療法士2名がふまねっと運動の研修に参加する事が決まった。 以上より、介入するための準備状態の整備(資格を取ること)が遅れたが、その後からは施設の協力が得られ、4月までに月2回のペースで定期的介入を行うことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年年4月現在、30名の対象者を4群に分類(A群:転倒有でフットケアのみ、B群:転倒未でフットケアのみ、C群:転倒未で軽い運動とフットケア、D群:転倒未で軽い運動と爪切りのみ)し、A群7名、B群7名、C群9名に2回のフットケア(爪入りとマッサージ)を実施したので効果を判定する目的で5月に介入後の①Timed Up and Go(以下TUGと略す)、②足指力、③開眼片足立ち、④フットプリント、⑤足・爪の状態を写真撮影で記録を実施する。 その後、フットケアや軽い運動を定期的に行いながら、2か月後、3か月後と介入の効果を判定する目的で先の①~⑤の項目で歩く力の基礎となる項目を測定する。 加えて、6月からはふまねっと運動(軽い運動)を週1回60分程度行い、フットケアとの併用による効果の検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度に「爪きり屋」メディカルフットケアJF協会で2級を取得、平成28年度にフットケアワーカー1級の資格を取得する予定であった。しかし、この予定では、介入期間が短くなり、フットケアの効果を評価するには困難と判断した。そこで、平成27年度中にフットケアワーカー1級を取得、その後介入が行えるようにするため計画の修正を行った。その際、フットケアワーカー1級取得に必要な経費として40万円を前倒し請求した。介入するためのフットケアの道具(爪切り、グラインダー、ビット等)を購入する際、「爪きり屋」メディカルフットケアJF協会に入会することで会員価格で購入できた。そのため、予定よりも安価になり当初の予算額と異なる状況になった。 次年度は、すでにフットケアワーカー1級を修得していること等から、この資格修得のための研修費および旅費が不用となったため、当初の計画と異なる予算となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、現在介入している施設で対象者30名で定期的にフットケアとふまねっと運動を実施する計画である。しかし、メディカルフットケアの知識と技術に基づき安全に爪を切るため技術を普及する必要があると考る。そこで、平成28年9月に「爪きり屋」メディカルフットケアJF協会から会長である宮川晴妃氏と疎他助手2名を招き講演と技術指導を行う計画があり、講師料および交通費等で使用する。現在までの結果を平成28年9月に開催される日本看護協会精神看護学会(岩手市)で発表するための交通費等に使用する予定である。
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