2014 Fiscal Year Research-status Report
入院中の認知症高齢者の転倒予防をめざした病室内の色彩環境の検証
Project/Area Number |
26671024
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Research Institution | Aino University |
Principal Investigator |
本多 容子 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (40390166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹谷 真由美 藍野大学, 医療保健学部, 講師 (50435327)
米澤 知恵 藍野大学, 医療保健学部, 助手 (20723042)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高齢者 / 転倒予防 / 色彩 / 環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
基礎実験として、高齢者の病床環境に色彩を用いた際の動作への影響を検証した。 【方法】健康成人に、高齢者疑似体験スーツを着用させた状態で、模擬病室に入室し、ベッドに腰掛けてもらい、動作を測定した。ベッド柵は、通常の白色系のものと、ピンク色(magenta、マンセル5RP5/14)および黄緑色(lime、マンセル5GY)とした。実験順序はランダムとした。測定項目は、関節角度、足跡、主観であった。関節角度は、動画解析システムを用い、着座動作第2相で、腰部屈曲角度最少時の体幹前傾角度と頸部屈曲角度を測定した。足跡は圧力測定フィルムプレスケールおよび足圧測定システムフットビューを使用した。主観はVASを用い、「よく見えた(0cm)-見えなかった(10cm)」として、手すりの見えやすさを調査した。なお本研究は、藍野大学研究倫理委員会の承認を得て実施した。 【結果】関節角度:通常のベッド柵とピンク色、黄緑色のベッド柵で腰部屈曲角度、体幹前傾角度に差はなかった。頸部屈曲角度は、ピンク色のベッド柵の角度が、最も小さかった。主観(VAS):通常群のベッド柵とピンク色のベッド柵、黄緑色のベッド柵では、ピンク色が最も「よく見えた」との結果を得た。足跡:現在解析中。 【考察】体幹前傾角度に差がなく頸部屈曲角度が大きい時、頭部を支える負荷が増加する可能性がある。ピンク色のベッド柵の頸部屈曲角度は、他のベッド柵より小さく、負荷が少ないと推測される。これは主観調査より、ピンク色のベッド柵が最も見えるため、位置確認が容易で、視線をあげて着座動作が行えたからだと考えられる。以上より色彩を用いたベッド柵、とりわけピンク色は、着座時の頸部の負荷が小さくバランスを崩す危険性が軽減するため、転倒予防につながる可能性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は、基礎実験を入院患者対象に実施する予定であった。しかし研究協力病院との検討の結果、入院患者への危険性と負担を考慮し、入院患者対象の実験は本実験とし、基礎実験は健康成人対象に実施することとなった。基礎実験の進捗状況は計画通りであるが、対象者に変更があったため、研究計画の全体像としては、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
7月~9月にかけて、研究協力病院にて本実験を実施する。現在基礎実験の解析中であり、解析結果を元に、本実験の方法に若干の修正を加える予定である。現時点では、足跡分析、ビデオ撮影のポイント等について、修正策を検討している。
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Causes of Carryover |
4181円の次年度使用額が生じた。購入物品を安価なものにする等により、当初計画より使用額が少なかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品費として使用予定である。
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Research Products
(1 results)