2015 Fiscal Year Annual Research Report
入院中の認知症高齢者の転倒予防をめざした病室内の色彩環境の検証
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26671024
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Research Institution | Aino University |
Principal Investigator |
本多 容子 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (40390166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹谷 真由美 藍野大学, 公私立大学の部局等, 講師 (50435327)
米澤 知恵 藍野大学, 公私立大学の部局等, 助手 (20723042)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高齢者看護学 / 転倒予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の目的】認知症の高齢者は、自ら転倒予防行動を取ることが難しく、非認知症高齢者よりも転倒率が高いことが指摘されている。そこで認知症高齢者のための新しい転倒予防策として色彩環境に着目した。高齢者は色彩の識別視力の低下により、ベッドとベッド柵や壁と手すり、トイレ便座等の位置関係を識別出来ていない可能性があると考えられる。そこで、高齢者の生活空間に色彩を取り入れることで、手すり等の位置を識別しやすくなり転倒の危険性を軽減できるのではないかと考えた。本研究は、転倒リスクの高い入院中の認知症高齢者の転倒を、色彩を用いて予防できる可能性を検証することを目的とした。 【平成26年度:基礎実験】病床環境に色彩を用いた際の、視認性の変化と、動作への影響を検証する目的で、健康な成人に、高齢者疑似体験スーツと視覚体験ゴーグルを装着させ、ベッド柵を「通常」のものと、「桃色」、「黄緑色」の3種類で、ベッド柵の視認性と、ベッドへの着座動作に違いがあるかを検証した。その結果、「通常」のベッド柵よりも、「桃色」の方が、視認性が高いことが明らかになった。また「桃色」のベッド柵は、着座時の頸部屈曲角度が、「通常」よりも小さいことが明らかになった。これらのことから、ヘッド柵に桃色の着色を施すと、視認性が向上するため、ベッドの位置関係の確認が容易となり、姿勢の改善につながると考えられる。 【平成27年度:本実験】認知症高齢者の病床環境に色彩を用いた際の動作への影響を検証する目的で、認知症で入院している高齢者を被験者として、「通常」と「桃色」のベッド柵の、動作への影響を検証した。その結果、基礎実験同様に、「桃色」のベッド柵では「通常」よりも頸部屈曲角度が小さく、姿勢が改善していることが明らかになった。姿勢の改善は、頸部の負担軽減やバランスの向上につながるため、転倒予防にも有効である可能性があると推察される。
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Research Products
(2 results)