2014 Fiscal Year Annual Research Report
N原子と電子フローに着目したアンモニア酸化細菌のN2O生成機構解明と診断技術構築
Project/Area Number |
26701009
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
寺田 昭彦 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30434327)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 亜酸化窒素 / アンモニア酸化細菌 / 安定同位体 / N2O生成経路 / 亜硝酸 / ヒドロキシルアミン / ハイブリッド反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
実験1:N2O同位体比のモニタリングを可能にするバイオリアクターシステムの開発 部分硝化型バイオリアクターで生成するN2Oの同位体比をオンラインで測定可能な連続観測システムを構築した。具体的には、溶存態N2OとNOのマイクロセンサー、pH、DO、温度センサーを投入し、オンラインでこれらの項目をモニタリングする測定系を確立した。 実験2:様々な環境条件におけるアンモニア酸化細菌(AOB)の集積 活性汚泥バイオリアクターを立ち上げ、水温、流入NH4+濃度の異なる条件で、AOB集積培養に向けた連続運転を行った。AOBの純化・単離には至っていないものの、それぞれのバイオリアクター内にてAOBの集積化を達成できた。 実験3:集積化・単離したAOBの動力学的解析とN2O生成能・機構解明 集積化したAOBを用い、最大比増殖速度、基質の半飽和定数などの動力学パラメータを算出した。各バイオリアクターに集積されたAOBは異なる生理活性を示すことが示された。次に、実験1で立ち上げたシステムで連続モニタリングを行い、N2O生成量と生成経路を評価した。従来から報告されていた硝化菌脱窒によるN2O生成とともに、ヒドロキシルアミンと亜硝酸の窒素がハイブリッドに反応してN2Oが生成されることを明らかにした。また、このハイブリッドN2O生成の非生物反応による関与を明らかにするため、水中に溶解している金属イオンの影響を評価したところ、N2Oの生成量を大きく左右する多価イオンを特定することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に沿って、安定同位体を用いた部分硝化バイオリアクターからのN2O生成経路の同定手法を確立することができた。これまでのノウハウを有効に利用できたこと、研究協力者との議論を綿密に行えたことが要因であると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
生理活性や基質親和性の異なるアンモニア酸化細菌(AOB)を用いたN2O生成経路を明らかにする。また、オンラインでN2O同位体比を追跡することにより、バイオリアクターの非定常な操作がN2Oの生成量と生成経路に及ぼす影響を明らかにする。また、N2Oの生成に関与する電子フローを追跡するためのプロテオーム解析に取り組む。AOBのプロテオーム解析は技能・ノウハウを有するため、共同研究を行うための準備を進める。
|
Causes of Carryover |
本研究で利用する機器である亜酸化窒素同位体比アナライザーは、発注後に装置を作製するため、発注・リース契約・納品に多くの時間を要した。これにより、リース契約に係る賃貸料の多くを次年度以降に利用することになったため、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年使途しなかった額を亜酸化窒素同位体比アナライザーの賃貸料として補填する。
|
Research Products
(5 results)