2014 Fiscal Year Annual Research Report
爆弾低気圧は海洋を変えるか?:高解像度海洋モデルと高頻度自動観測網による実態解明
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26707025
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
吉田 聡 独立行政法人海洋研究開発機構, アプリケーションラボ, 研究員 (90392969)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 爆弾低気圧 / 海洋大循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
水平解像度1/10度の海洋大循環モデルOFESの準全球長期シミュレーションを用いて1980年1月から2013年12月までに北西太平洋で発達した爆弾低気圧に対する海洋応答をコンポジット解析により解析した。爆弾低気圧の抽出には新たに考案した各水平格子点での海面気圧時間変化率(局所発達率)を用いて、爆弾低気圧抽出の簡便化、高速化を実現した。この手法によって、OFESの境界条件であるNCEP-NCAR大気再解析データの3日毎の海面気圧データから12月から3月の冬期間に各月約40事例の爆弾低気圧を抽出し、低気圧中心を揃えたコンポジット解析の急発達時と3日前との差を取ることで爆弾低気圧に対する海洋応答を推定した。その結果、爆弾低気圧に伴う湧昇流は2000m近くまで確認されたが、水平発散は表層60mに限られることを明らかにした。 また、2013年1月14日に北西太平洋で急発達した爆弾低気圧について、NOAAとJAMSTECが係留しているブイ観測データを入手し、係留センサーの上下動からOFESでシミュレートされた湧昇流に比べて2桁程度大きい100m/12hに達する湧昇流が発生していることを明らかにした。 さらに、来年度の集中観測に向けて、中層フロート2台を今年度購入し、地上テストで動作を確認した。また、気象庁長期大気再解析データJRA-55を用いて爆弾低気圧の月毎の発生領域を調査し、3月が東北沖から北海道沖を通過する確率が高いことから観測海域を決定した。この結果に基づき、平成27年度冬季の集中観測期間に合わせて中層フロート4台、漂流ブイ3台を観測海域に展開するよう研究協力者と共に関係機関と調整を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
渦解像海洋長期シミュレーションの解析から北西太平洋において、爆弾低気圧に対して海洋応答が2000m深まで達する一方で水平発散は表層数十mに限られることを明らかにできたため。また、現場観測データではさらに大きな海洋応答が発生していることを見出せ、海洋応答の実態解明に近づいているため。また、平成27年度の集中観測に向けた準備も着実に実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
係留ブイでの現場観測で見積もられた湧昇流がOFESシミュレーションより2桁程度大きいため、高解像度非静力学大気海洋領域結合モデルCReSS-NHOESを用いて、数km解像度1時間毎出力のシミュレーションを行い、爆弾低気圧に対する海洋応答の実態について、定量的に明らかにしていく。また、集中観測を着実に実施し、実際の観測データとの比較検討を行う。
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Causes of Carryover |
円安等により次年度購入予定の観測測器の値上がりが予想されたため、今年度購入予定だったRAIDストレージの購入を取りやめ、次年度の観測測器購入に充当することにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
自動昇降型中層フロート1台の購入に使用予定である。
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Research Products
(9 results)