2015 Fiscal Year Annual Research Report
爆弾低気圧は海洋を変えるか?:高解像度海洋モデルと高頻度自動観測網による実態解明
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26707025
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
吉田 聡 国立研究開発法人海洋研究開発機構, アプリケーションラボ, 研究員 (90392969)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 爆弾低気圧 / 鉛直流 / 海洋モデル / 大気海洋相互作用 / アルゴフロート / 漂流ブイ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究協力者の海洋研究開発機構(JAMSTEC)細田滋毅グループリーダー代理の協力の元、6月に気象庁の船舶により自動昇降型漂流フロート2台、10月に海上自衛隊の船舶により自動昇降型漂流フロート2台と海面漂流ブイ4台を北西太平洋域に投入展開していただいた。10月に投入したフロート1台は機器不具合のため投入直後に観測不可能になったが、残りのフロート3台とブイ4台は順調に観測されていることを確認した。 11月~3月に実施する集中観測の準備として、気象庁週間アンサンブル予報と局所発達率を用いた爆弾低気圧予報情報作成プログラムを作成した。この情報はtwitterでも#LDR24PROBのハッシュタグで随時配信した。 集中観測では、爆弾低気圧予報情報を元に、通常時は1日毎、2000m深まで、爆弾低気圧予報時は6時間毎、700~600m深までの鉛直プロファイル観測を実施した。集中観測期間を通して稼働したフロートは1台だけで、他の2本はそれぞれ12月上旬、1月中旬に機器不具合により観測不可能となった。しかしながら、集中観測期間で合計649本のプロファイルデータを取得できた。一方、ブイは予想よりも早く東方沖に流されたため、フロートと同じ爆弾低気圧の観測はほとんどできなかった。これらのブイ・フロート観測データはリアルタイムで全球通報システムに配信され、気象庁を含む現業機関の予報業務に活用された。 また、渦解像海洋大循環モデル出力の解析を昨年度に引き続き実施した。低気圧の年々変動に着目し、北西太平洋の1月の爆弾低気圧活動の年々変動に伴って、鉛直流および水温の月内変動が1000m深でも有意に変動することを発見した。また、爆弾低気圧が表現されていない大気の月平均気候値で駆動した海洋大循環モデルでは、北太平洋域の深層鉛直流月内変動がほとんど起きておらず、爆弾低気圧の表現が海洋循環に大きな影響を及ぼすことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フロート4台のうち、3台に集中観測期間前や途中で機器不具合が生じたこと、ブイの漂流速度が予想以上に早かったことにより、複数フロート・ブイによる爆弾低気圧下同時観測が予定よりできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
不具合の生じたフロートのうち、2台はメーカー補償の対象となったため、平成28年度に、フロート2台による集中観測を実施する。また、今年度実施した表層の高頻度プロファイル観測だけでなく、1000m深付近を上下するプロファイル観測や等深度漂流時の連続観測を実施し、爆弾低気圧通過時の深層での海洋変動を捉える。 また、2013年1月の爆弾低気圧発達時における各種観測データおよび領域大気海洋モデル、海洋同化データを解析し、近年で最も急発達した爆弾低気圧が海洋に及ぼす影響を解析する。
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Causes of Carryover |
今年度に運用した中層フロート4台のうち、3台が予定より短い期間で機器不具合が生じたことで、観測に伴う通信費を使用できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
中層フロートおよびブイの通信費に使用する。
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Research Products
(20 results)