2014 Fiscal Year Annual Research Report
膜タンパク質の分子機構解明に資する新規赤外分光計測法の開発
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26708002
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
古谷 祐詞 分子科学研究所, 生命・錯体分子科学研究領域, 准教授 (80432285)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 赤外分光法 / 生物物理 / 膜タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
イオンチャネル、トランスポーター、ポンプなどの膜タンパク質の分子機構を理解するためには、機能発現に関わる分子構造の変化やダイナミクスに関する情報が重要である。 本研究では、液中での計測に有利な全反射赤外分光計測を駆使し、イオンや基質の結合に伴うタンパク質の構造変化を明らかにする。さらには、急速溶液交換法と組み合わせた計測により、様々なイオンや基質との相互作用やイオンチャネルにおけるゲート開閉、トランスポーターやポンプにおける物質輸送過程での構造変化など、タンパク質の動的な構造変化を明らかにする。具体的には、以下の研究テーマを設定した。1、イオン・基質透過経路でのイオン・基質との相互作用解析(低速溶液交換法)。2、急速溶液交換法によるイオン・基質の結合解離に伴う構造ダイナミクスの解明。 本年度は、1に関連して、ほ乳動物由来のカリウムチャネルタンパク質であるTWIK-1について、様々なアルカリ金属イオンとの相互作用の解析を行った。2に関連して、分子科学研究所の藤准教授のグループとの共同研究として、チャープパルス上方変換による新規赤外分光計測系に急速溶液交換法を適用した結果を共著論文として発表した(H. Shirai et al. Opt. Express 2014)。また、メリビオーストランスポーターについて、メリビオースおよびグルコースの結合に伴う時間分解赤外分光計測に関する予備的な実験を行った。 本研究予算で、当初は博士研究員の雇用を計画していたが、研究計画を見直し、試料調製に関わる技術支援員を雇用することが最適であると考え、平成26年3月から1名の技術支援員を雇用した。また、イオンチャネルの機能を解析するために必要となる平面脂質二重膜による電気生理計測の実験系を立ち上げるため、パッチクランプ増幅器を導入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カリウムチャネルのアルカリ金属イオンとの相互作用解析、急速溶液交換装置による実験系構築について順調に研究を進めているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、(1)の研究テーマに関連して、カリウムイオンチャネルのアルカリ金属イオンとの相互作用解析に関する実験結果を総合して、カリウムイオン選択機構のメカニズムについての研究を進める。これまでKcsAについて、K+およびNa+イオン存在下でamide Iバンドに特徴的なシグナルを見いだしてきたが、そのようなamide Iバンドが様々なアルカリ金属イオンによって、どのように変化し、それがイオンの配位構造とどのような関わりがあるのかを考察する。同様の解析をほ乳動物のカリウムイオンチャネルであるTWIK-1等にも適用した結果についても研究を進める予定である。GPCRの一種であるロドプシン類、メリビオース輸送タンパク質に対する全反射赤外分光計測を行い、タンパク質と基質との相互作用を解析し、機能発現との関連を明らかにすることを目指して、研究を進める。 また、(2)の研究テーマに関連して、3回反射型の全反射赤外分光用結晶において、溶液の交換速度が向上するかどうかを検討する。直径が4 mmの9回反射型に比べて、直径が2 mmの3回反射型は交換する溶液の量が少ないので、より高速に交換できる可能性がある。流路を規定するテフロンパーツの製作などを行い、最適な計測条件を構築する。 さらに、(1)および(2)の研究テーマでの研究対象となるイオンチャネルタンパク質の活性を確認するため、平面脂質膜法によるシングルチャネル電流計測系の構築や評価を行う。
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Causes of Carryover |
当初、博士研究員の雇用を計画していたが、研究計画を見直し、試料調製に関わる技術支援員を雇用することが最適であると考え、平成26年3月から1名の技術支援員を雇用した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
技術支援員の雇用および試料調製に必要な試薬等で使用する計画である。
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Research Products
(14 results)