2014 Fiscal Year Annual Research Report
タウPETによる認知症神経病態の解明および客観的重症度評価指標確立に関する研究
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26713031
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
島田 斉 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 主任研究員 (10422239)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | PET / 認知症 / タウオパチー / アルツハイマー病 / 進行性核上性麻痺 / 大脳皮質基底核症候群 / バイオマーカー / 重症度評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
増え続ける認知症の治療法および予防法の確立は急務である。認知症病態にはβアミロイド(Aβ)蓄積やタウ蛋白病変(以下、タウ)などが密接に関与すると考えられており、創薬分野における標的分子となっている。これらの分子を標的とした治療薬の開発には、ポジトロン断層撮影(PET)などの画像技術を用いたヒト生体での薬効評価系の確立が不可欠である。既にAβを標的とした治療薬はPETによる評価系が確立しているが、これまでのところAβ標的薬は期待された効果が得られていない。一方タウを標的とした治療薬は、今までヒト生体における薬効評価系が存在せず、開発が進んでいなかった。ヒト生体における画像技術によるタウ蛋白病変の可視化は、今まで確立したものはなかった。最近我々は、アルツハイマー病(AD)ならびに非AD性認知症のタウへの高い結合性と選択性を示す新規PET薬剤である[11C]PBB3を開発し、[11C]PBB3 PETで評価したタウの集積程度や分布が、神経障害に密接に関与する可能性があること示した。 本研究の目的は、PETにより各種認知症のタウと神経障害の関連を解明し、認知症の客観的な重症度評価指標を確立することである。 我々は平成26年度に、AD、非AD性認知症、軽度認知機能障害、健常者を対象に、PET及びMRI検査、臨床神経学的評価、認知機能評価を行い、PETの動態解析などを行った。この結果、[11C]PBB3 PETにおける簡便で妥当な解析法を確立した。さらに高齢健常者ではAβ蓄積の有無に関わらずタウ蓄積を認める症例が散見されること、異なる認知症においてはタウ蓄積分布様式も異なり、各疾患で特徴的な神経症候に関連する部位にタウ蓄積が認められることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画時点で想定した以上に順調に被検者募集、検査、データ解析が進んでいる。初年度時点での中間解析においても、既に最適な動態解析法を確立することが出来、さらには当初の目的の一つである、各種認知症において脳内タウタンパク病変の分布が異なることを確認することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は更に検査症例数を増やし、脳内タウ蓄積との臨床症候との関連や、各疾患における重症度評価法について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
初年度は当初の予定よりも順調に被験者の組み入れが進み、早い時期からデータの中間解析に着手することができた。次年度からはさらに詳細な解析を迅速に進めるために、データ解析の補助的業務を行う人材を雇用することとした。そのため、一部の学術研究助成基金助成金を次年度以降の人件費に充当するため、計画的に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
既述の如く、データ解析の補助的業務を行う人材の人件費の一部に用いる予定である。
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Research Products
(36 results)