2016 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of practical cell therapy to control chronic inflammation of diabetic ulcer
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26713051
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
田中 里佳 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70509827)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 創傷治癒 / 再生医療 / 慢性炎症 / 糖尿病 / 難治性潰瘍 / 血管内皮前駆細胞 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、糖尿病患者末梢血・潰瘍局所での抗炎症性を規定する M1/M2 マクロファージ比率の制御因 子(Notch シグナル、サイトカイン等)の同定、及び糖尿病性潰瘍の慢性炎症環境と遺伝子特性(エピジェネティ クス)の制御機構を解明することを目的とする。申請者が開発した「ハイブリッド型無血清生体外培養増 幅法 Hybrid QQc」は、末梢血の血管内皮前駆細胞(EPC)と M2 マクロファージの量・質を増幅することで、 高い創傷治癒効果を有する細胞移植治療を可能としたが、一部の治療抵抗群では細胞と宿主側の 慢性炎症の影響が示唆される。この為、慢性炎症制御機序を解明し、従来の治療効果を更に向上 させた発展型の細胞移植治療法の開発が重要となる。本研究で移植細胞の分子生物学的特性、移植床の慢性炎症環境の解明により治療抵抗性の主因を明らかにし、効果的治療法の開発を目指す 平成26年度において糖尿病潰瘍モデルマウスを用いて、糖尿病性潰瘍部分の慢性炎症メカニズムを解明した。糖尿病マウスにおいては皮膚の損傷前においてM1細胞からの炎症シグナルが正常に惹起されないため、その後M2細胞からの皮膚再生シグナルの発現が遅延し、創傷治癒遅延が生じてしまうことを明らかにした。(現在、PLOSOneに投稿中)平成27年度のおいては、糖尿病患者において末梢血CD34+細胞におけるPGC1αとNotchシグナルの障害が存在していることを明らかにし、Hybrid QQc培養においてはPGC1αとNotchシグナルの障害を改善し、Hybrid QQc細胞は高い血管新生・創傷治癒効果を有することを明らかにした。平成28年度から平成29年度は、HyQQc培養不適合患者における責任因子を同定し、効果的治療バイオマーカーの開発を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度にはHyQQcに含まれるサイトカインとNotchシグナルによるM1/M2細胞制御の役割を明らかにし、平成27年度以降は糖尿病潰瘍モデルマウスを用いて、糖尿病性潰瘍部分の慢性炎症メカニズムを解明する計画となっていた。平成26年度に糖尿病性潰瘍の慢性炎症による創傷治癒遅延の分子メカニズムを明らかにすることができ、現在論文が完成し、投稿を行っている段階である。また、平成27年度には糖尿病患者における末梢血CD34+細胞のNotch障害を明らかにし、HyQQcがその機能障害を改善し、HyQQc細胞が糖尿病性潰瘍における炎症制御に関与することを明らかにし、現在論文が完成し、Stem Cell Translational Medicineに投稿した。平成28年度~平成29年度は、糖尿病患者の HyQQcによる組織再生・慢性炎症制御不能患者の責任因子を同定する。 約20%の糖尿病患者では慢性炎症制御不能によってHyQQc法が適用不可、ならびに、ヌードマウス 潰瘍へのHyQQc細胞移植で血管再生・組織再生・抗炎症効果が有意に低いという課題 (Circulationに投稿中)を受けて、これらの責任遺伝子の同定を行っている。昨年度はRNASegによる網羅的遺伝子解析による数個の候補遺伝子を同定することが出来た。今年度中にさらなく解析を行う。以上の結果から実験計画は順調に進んでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は糖尿病患者の HyQQcによる組織再生・慢性炎症制御不能患者の責任因子を同定する。 20%の糖尿病患者では慢性炎症制御不能によってHyQQc法が適用不可、ならびに、ヌードマウス 潰瘍へのHyQQc細胞移植で血管再生・組織再生・抗炎症効果が有意に低いという課題を受けて、HyQQ細胞における、遺伝子学的特徴をRNAsegを実施し、解析している。本年度は、HyQQ細胞だけでなく、HyQQ培養中の培養上清を解析し、HyQQc Non Responder/Responderの慢性炎症制御因子の解明する予定である。同定した因子を細胞治療の治療効果予測のバイオマーカーとして用いることで、慢性炎症に起因する糖尿病性潰瘍に対する遺伝子特性に応じた治療戦略決定のための先進的診断法の開発への発展が期待される。本研究の成果は、治療前に的確な予後予測と効果的な治療の実施につながり、有効な治療計画の選択による患者の負担の軽減、医療費の抑制に資することから、社会的意義は大きい。
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Causes of Carryover |
実験はおおむね順調に進んでいる。未使用額は、支出の際に予定購入金額と実際の購入金額の差により端数が生じてしまったため発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度使用する。
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Research Products
(39 results)
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[Presentation] 膠原病患者の創傷管理と再生医療2017
Author(s)
福田太郎、田中里佳、門真起子、藤村聡、水野博司
Organizer
第15回日本フットケア学会年次学術集会
Place of Presentation
ANAクラウンプラザホテル岡山、岡山県・岡山市
Year and Date
2017-03-24 – 2017-03-25
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